甲子園で安打を放った4選手が教える「低反発バット対策」…スカウトは《選手を評価しづらい》と嘆き
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月21日 9時26分
飛ばない金属バット(C)日刊ゲンダイ
「バットの形そのものが変わるわけじゃない」
今春から導入された低反発バットが甲子園で“猛威”を振るっている。
大会12日目の19日、関東第一(東東京)の高橋(3年)が打ったソロが、今大会7号。金属バット導入以降、過去最少だった1974年の11本をさらに下回る“勢い”である。
19日時点で、夏に優勝経験のある強豪校は全滅。彼らの強力打線が「飛ばないバット」で封じられている面もあるだろう。
健大高崎(群馬)の青柳監督は「今のバットはパワーも必要。パワーがないと振り回される」と言えば、早実(西東京)の和泉監督はむしろ「本来、打撃は選手自身の体に合わせたものでなければいけない。今回は自身の打撃を見つめ直す良い機会」と語るなど、指導者によっても考え方がさまざまな低反発バット。実際、このバットを使う甲子園でヒットを打った選手たちはどんな対策を取ってきたのか。
掛川西(静岡)の佐藤駿斗(2年)が言う。
「長打が出にくいけど、芯に当たれば飛ぶ。僕は長打を打つタイプじゃないし、もともと低い打球を打つようにやってきました。最初は従来の金属バットよりも細くて違和感があったけど、バットの形そのものが変わるわけじゃないんで」
同じく掛川西の鈴木脩平(2年)は「うちは日本で一番早く、低反発バットを導入したらしいですよ」と、こう続ける。
「打球が飛ばないから低い打球を打つのがカギ。長打は狙わず、低く低くと意識しています。去年の秋季大会の最初の頃は全然打てなかったけど、冬に振り込んで、春あたりから慣れてきました」
93年ぶりにベスト8に進出した大社(島根)の下条心之介(3年)は監督やコーチから「長打は狙わなくていい」と指導されていたという。
「打撃練習の時から『フライは上げるな』と言われていました。秋季大会ではなかなか強い打球が打てませんでしたが、冬に1日1000本のティー打撃をして、振る力が強くなりました」
頭を抱えるプロのスカウト
捕手目線で語るのは、鶴岡東(山形)の億田知輝(3年)だ。
「とにかく強いゴロを打ちやすそうなコース、主に外角低めには構えないようにしていました。高めはつり球と割り切っていましたね。中途半端なコースだと、低反発バットでも飛ばされるので」
創成館(長崎)の中村部長は「うちは元々大きいのを打てる選手がいないので、チームとしての対策はそれほどしてません。ただ、バントやエンドランなどを重視してきた」と話す。
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