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筋力が衰えている高齢者でも安全に歩ける義足はあるのか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月22日 9時26分

筋力が衰えている高齢者でも安全に歩ける義足はあるのか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

近年は義足も高機能化が進んでいる

【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#32

 普段、私たちが歩こうと足を1歩前へ踏み出す際、大腿四頭筋の力を利用しています。これは太ももの前面にある4つの筋肉の総称で、膝を伸ばす作用のほか膝関節の安定性の維持を担う、歩行に欠かせない筋肉のひとつです。

 病気やケガで大腿切断をすると、大腿四頭筋も必然的に切除されるので切断前のようなスムーズな歩行が難しく、歩きにくさを訴える方も少なくありません。

 また膝関節より上部で切断すると、義足には失われた膝関節の代わりとなる「膝継手」と呼ばれるパーツが必要になり、膝が動くタイプか棒状に固定されるタイプのどちらかが選択されていました。ただ、前者の場合には立位の際に膝が不安定になりやすく、全身の筋力が衰えバランス力が低下している高齢者では、義足を作製しても再び歩行するのが非常に困難とされていました。

コンピューター制御膝継手の価格は?

 それが近年、膝継手は高機能化が進んでいます。2015年ごろから国内でも広く流通しているのが「コンピューター制御膝継手(立位安定型)」です。本体に内蔵されたマイクロプロセッサーが、歩行のタイミングやスピード、足の向きなど利用者の歩行状況を瞬時に把握して、膝継手の動きを適応させる機能が搭載されています。立位の保持を検知すると、膝折れしないよう自動的に膝関節にロックがかかるので、安全性の高い歩行が行えるのが特徴です。実際、筋力が弱く義足での歩行が難しいと言われた高齢の方が、立位安定型の使用で問題なく歩かれているケースが多く見受けられます。

 ただ、コンピューター制御膝継手はあくまでも日常生活用に開発されたものであることから、フリークライミングやパラシュートなどの激しい運動では使用できません。本体は定期的に充電する必要があり、製品にもよりますが、通常、1度のフル充電で約2~5日の使用とされています。

 コンピューター制御膝継手の価格は、およそ300万円です。使用を検討する際はかかりつけ医に相談し、ご自身が希望される切断後の生活に必要かどうか判断してもらうといいでしょう。

▽寺門厚彦(てらかど・あつひこ) 1995年聖マリアンナ医科大学卒業。2005年順天堂大学リハビリテーション医学助教を務め、06年公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所嘱託医。19年順天堂大学足の疾患センター装具外来を担当。

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