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疲労回復には逆効果…「BCAA」が豊富なプロテインは良質な睡眠を妨げる

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月24日 9時26分

疲労回復には逆効果…「BCAA」が豊富なプロテインは良質な睡眠を妨げる

タンパク質の摂取は大切だが…

 厳しい残暑が続いている。夏バテや疲労を回復させるためには何より睡眠が重要だが、不調を改善しようと実践している食習慣が逆に睡眠の質を落としてしまう恐れがある。東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身氏に詳しく聞いた。

「暑い夏は自律神経が酷使されます。自律神経は、体温、血圧、呼吸、心拍数、消化吸収、睡眠、摂食など、人間が生命を維持するために必要な働きをコントロールしていて、もっとも酷使されるのは、体温を一定に保つために働くときです。暑い夏は、体内にこもった熱を放散するために発汗を促したり、体表の血管を拡張して血流を増やすなどフル回転で対応しているため、自律神経が疲弊して疲労が蓄積しやすい季節なのです」

 自律神経をしっかり休めて疲労を解消するには、良質な睡眠を十分に取る必要がある。しかし近年、疲労回復やダイエットといった健康維持のために実践する人が増えた「プロテイン」(栄養補助食品)を定期的に摂取する食習慣が、良質な睡眠を妨げる危険があるという。

「タンパク質=アミノ酸を効率的に摂取するため、最近は数多くのプロテイン飲料や食品が発売されています。その中で、『BCAA』と呼ばれる必須アミノ酸が多く含まれたタイプには注意してください。BCAAは運動時に筋肉のエネルギー源になるバリン、ロイシン、イソロイシンという3種類のアミノ酸の総称で、筋肉の合成やエネルギー代謝に関わる重要なアミノ酸として注目されています。ただ、BCAAを過剰に摂取すると、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの材料になる『トリプトファン』というアミノ酸が減ってしまうのです。研究では、BCAAを4グラム摂取すると、トリプトファンの血中濃度が10分の1まで減少することが明らかになっています」

 トリプトファンから作られる睡眠ホルモンのメラトニンは、体温や血圧を下げて眠気をもたらしたり、睡眠を持続させる作用があり、睡眠の質を高めるためには欠かせない。健康のために摂取しているプロテインでBCAAを取りすぎてトリプトファン=メラトニンを減らしてしまったら、本末転倒だ。

■食事で十分に摂取できる

「もちろん、健康維持のためにタンパク質の摂取は大切ですが、プロテインではなくても食事で十分に賄えます。動物性タンパク質が豊富な肉、魚、卵、乳製品だけでなく、大豆や穀類にも植物性タンパク質が含まれています。白米やパンからも摂取できます」

 厚労省の「日本人の食事摂取基準」では、1日に必要なタンパク質の推奨量は18~64歳の男性で65グラム、18歳以上の女性は50グラムとされている。サケやブリなどの魚には100グラム当たり約18グラム、鶏の胸や豚のロースなどの肉類には100グラム当たり約17グラム、ご飯1膳で3.6グラム、食パン1枚で4.4グラムのタンパク質が含まれている。1日3食の食事でOKなのだ。

 また、睡眠に関係するトリプトファンは体内では合成できない必須アミノ酸で、こちらも食事で摂取する必要がある。朝食でトリプトファンを取ると、昼間には体内でやる気を高める神経伝達物質のセロトニンに変わり、夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変化する。

「トリプトファンは豆腐や納豆などの大豆製品、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に多く含まれ、肉や魚、お米でも摂取できます。ただ、トリプトファンは単体ではメラトニンに変換されません。変換を促し、吸収を高める炭水化物やビタミンB6と組み合わせることが大切です」

 トリプトファンの1日の推奨摂取量は体重1キロ当たり4ミリグラムで、体重60キロの人は240ミリグラムになる。白米100グラムで82ミリグラム、木綿豆腐100グラムには98ミリグラム含まれているので、こちらも一般的な食事だけで摂取できる。

 食事を見直してしっかり睡眠を取り、酷暑を健康的に乗り切りたい。

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