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点滴が血管の外に漏れ出すと重篤な合併症を起こす危険がある(高齢者の正しいクスリとの付き合い方)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月24日 9時26分

点滴が血管の外に漏れ出すと重篤な合併症を起こす危険がある(高齢者の正しいクスリとの付き合い方)

投与中に異変を感じたら医療スタッフに申し出を(C)iStock

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 今年の夏も日本全国で猛暑が続いていますが、体調を崩されたりしていないでしょうか? こまめに水分、塩分を取って熱中症にならないように気をつけてください。

 さて、熱中症もそうなのですが、治療のために点滴が必要になるケースがあります。今回は、もしも点滴中にこんなことがあったらすぐに医療スタッフに申し出てほしいことをお伝えします。

 みなさんは、点滴が「漏れる」ことがあるのをご存じでしょうか。ここでの「漏れる」というのは、点滴のバッグからクスリが漏れ出ることではなく、本来は血管内に投与しなければならないクスリが血管外に漏れることを意味します。血管の外にクスリ、つまり液体が漏れ出るため、針を刺した周囲が腫れ、痛みを伴い、場合によっては発赤することもあります。

 この時点で苦痛を伴うため、点滴を中止し、別の部位に針を刺し直したうえで引き続き投与する必要があります。点滴に用いられる輸液製剤だけが漏れた場合はそれほど問題にはなりませんが、そこに他のクスリが混ざっている場合には、そのクスリ次第でさらに注意、対処が必要になるケースがあります。

 輸液製剤にクスリを混ぜて投与することは意外と多いです。そして、そうしたクスリの中には漏れた場合に細胞を障害する性質があるものもあります。クスリによっては漏れた周囲の組織に腫れや痛み、疼痛(とうつう)を生じるだけでなく、炎症を起こしたり(炎症性)、最悪、壊死を起こして(壊死性)外科的な処置が必要になるものもあるのです。

 特に注意が必要なものとして、抗がん剤が挙げられます。抗がん剤はその薬効特性上、細胞を障害する性質のものが多いです。特に壊死性抗がん剤が血管外に漏れた場合には、速やかに対処しなければ重篤な経過をたどってしまうこともあります。

 対処としては、壊死性や炎症性でなければ経過観察が基本で、必要に応じてステロイドの外用薬を塗布する場合もあります。炎症性であれば漏出部位の冷却、ステロイドの外用を塗布することが多いです。壊死性であれば漏出部位の冷却(クスリによっては保温)、漏出部位の周りを囲むようにステロイドを局所皮下投与、そしてステロイドの外用を塗布します。

 こうした血管外漏出のリスクが高いのは、血管が硬く、細い人が一番に挙げられます。これは高齢者の多くが該当します。他にも体動が多い人などさまざまなリスク因子があります。また、一度血管外漏出したことがある人は、他の部位からクスリを投与したとしても以前に漏れた部位が腫れるなんてケースもあります。

 抗がん剤以外のものでも重篤な合併症を起こすことがもちろんありますので、投与中に異変を感じた場合はすぐに申し出てください。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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