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軽度認知障害から認知症に移行させないためには何をすべきか【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月26日 9時26分

軽度認知障害から認知症に移行させないためには何をすべきか【介護の不安は解消できる】

予防のためには社会交流が大事

【介護の不安は解消できる】

 軽度認知障害(MCI)とは、健常と認知症の中間に位置するグレーゾーンの段階です。患者数は国内に450万人以上とされ、診断から1年で10%、4年で40%が認知症に移行しています。ただ、すべての人が認知症を発症するとは限らず、適切に対処すれば4人に1人は健常な脳の状態にUターンできることが分かってきたのです。

 最も知られているのが「運動」です。有酸素運動と筋力トレーニング、バランス運動の3つをマルチに行うことが重要で、有酸素運動であればウオーキングや水中ウオーキング、サイクリングが挙げられます。なかでも「インターバル速歩」と呼ばれる、「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を交互に繰り返すウオーキング法が有効とされ、人と会話ができないくらいの速度で歩くのがポイントです。筋トレは過度に行いすぎると血圧が上がる恐れがあるので、自宅でできるスクワットを10回を目安に3日に1度の頻度で行うといいでしょう。

 さらに高齢者で気を付けたいのが「転倒」です。転倒による骨折は寝たきりの入り口とされ、認知症の発症リスクが高まりやすい。転倒を防ぐためにも、30秒間の片足立ちで体幹のバランスを鍛えるようにしてください。

 近年、認知症を予防する上で最も欠かせないとされているのが「社会交流」です。

 ある70代前半の男性は、MCIと診断されてから認知症を予防しようと積極的に地域のボランティア活動に参加されていました。ある時、家族の勧めで試験監督のアルバイトに応募したところ、具合の悪くなった学生への救護・そのアフターケアに迅速な対応をしたことで評価され、週2回は仕事を依頼されるようになったそうです。その後も教室の出入りを円滑にし、監督しやすい机の配置に関する改善点を会社に報告するなど、熱心に仕事に取り組むうちに、今では数十人のアルバイトのまとめ役にまで出世されました。

 仕事は報酬を受け取る以上、責任が生じるので自ら主体となって動きます。また仲間とのコミュニケーションを通じて脳が刺激されると、認知機能の低下を防げるのです。この男性はMCIと診断されてから6年経った現在も、認知症を発症することなく過ごされています。

 仕事はハードルが高いといった方であれば、登下校の見守りボランティアもお勧めです。仲間と交流することで脳が活性化されるだけでなく、子供たちからは慕われ親御さんからは感謝されるので、やりがいや生きがいにつながりやすい。

「めんどうくさい」という言葉が出たら、認知症が近づいている危険なサインです。本人が何事に対してもおっくうさを感じているようであれば、家族が後押ししてあげる必要があります。

▽朝田隆(あさだ・たかし) 1982年東京医科歯科大学医学部卒業、83年同大精神科、95年国立精神・神経センター武蔵病院、2001年筑波大学精神医学教授を経て、15年からメモリークリニックお茶の水院長、筑波大名誉教授、東京医科歯科大学特任教授を務める。

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