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単独高齢者の「身元保証サービス」にトラブルが10年で4倍…政府ガイドライン策定でも疑問点が

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月27日 9時26分

単独高齢者の「身元保証サービス」にトラブルが10年で4倍…政府ガイドライン策定でも疑問点が

相談件数は10年で4倍に…(C)日刊ゲンダイ

 急速な高齢化と核家族化の進展で高齢者の単独世帯が急増している。世帯主が65歳以上の単独高齢者世帯は、2020年の737万8000世帯から50年には1083万9000世帯と、65歳以上世帯の約半数(45.6%)が単独世帯となる(国立社会保障・人口問題研究所調査)。

 総務省が行った「高齢者の身元保証に関する調査」では、病院・施設の9割以上が入院・入所希望者に身元保証人を求めているとし、身元保証人がいない場合は入院・入所を断る病院・施設が15.1%に上るとする実態が明らかになった。

 身元保証は多くの場合、親族が身元保証人となる。だが、親族や頼れる友人のいない単独世帯の増加で、家族に代わり医療機関や介護施設に入所する際の身元保証や死後事務(葬儀・供養)を代替する身元保証サービス事業者が急増している。一方で利用者と事業者との間にさまざまなトラブルが生じている。相談件数は国民生活センターによると、23年度は354件で、この10年で4倍にもなっているのである。

 政府は6月、身元保証事業者を対象に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を策定、利用者が安心して事業者を選択できる基準を公表した。対象となるのは、「身元保証等サービス」及び「死後事務サービス」を提供する事業者。「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン制定の背景」とするリポートを発表した(8月13、14日)ニッセイ基礎研究所社会研究部の鈴木寧部長がこう述べる。

「利用者が高齢者であるため契約締結時、契約履行時に事業者の体制へのチェックリストを提供している。さらに、事業者の基本情報(組織、サービス内容と費用、預託金の管理方法、寄付・遺贈に関する取り扱い方針など)の開示で利用者が正しい選択をできるよう事業者側の適正な体制を促している。過去の消費者トラブルを踏まえ、事業者が留意すべき事項が整理されていることは意義がある」

 ガイドラインの策定に期待する一方、疑問点について、こう指摘する。

「事業が広範囲に及ぶため共管する府省庁は内閣府孤独・孤立対策推進室をはじめ、総務省、厚生労働省など9府省庁が関わっています。ガイドラインでの指摘を担保できなかった事業者に対し、どこが責任を持って対応するのか、管轄官庁がなければ事業者の運営を外部から確認・指摘するのは難しい」

 単独高齢者にとって、必要なサービスの提供と終身の制度設計を行ってくれる身元保証サービス事業者は不可欠となる。単独高齢者の増加で消費者が安心して事業者を選択できるよう、身元保証事業を監督する官庁の存在は早急に解決すべき課題といえる。

(ジャーナリスト・木野活明)

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