1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

世論が求めるのは物価高対策なのに…自民総裁選で露呈した経済閣僚経験者「払底」の不毛

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月29日 9時26分

世論が求めるのは物価高対策なのに…自民総裁選で露呈した経済閣僚経験者「払底」の不毛

後継者と育てる気はなかった(写真は、2018年自民党総裁選)/(C)日刊ゲンダイ

 期待とは裏腹に不毛な議論に終わるのか。最新の世論調査の結果、自民党総裁選で最も議論してほしいテーマは物価高・景気対策など「経済」だ。どのメディアの調査でもダントツ。長引く物価高に賃上げが追いつかず、苦しい庶民生活を反映しているが、出馬を目指す議員から具体策は聞こえてこない。すでに正式表明した3人もしかりだ。

 小林鷹之前経済安保相は「経済は財政に優先する」と自分のポリシーを語るのみ。石破茂元幹事長は今月発売の新著で「金融緩和の長期化で国の財務と日銀の財務が悪化した」とアベノミクスの弊害に触れた程度。河野太郎デジタル相は「分厚い中間層をもう一度つくっていく」と訴えるが、単なる願望に過ぎない。

 いずれも抽象論の域を出ず、本命視される小泉進次郎元環境相も「経済政策は未知数」(自民党関係者)との評判だ。マトモな議論を期待するだけムダかもしれない。

 その要因のひとつは党内における経済閣僚経験者の乏しさ。政権に返り咲いた2012年12月以降、財務・金融相に就いたのは、たった2人。安倍・菅両政権で戦後最長8年9カ月にわたって独占した麻生太郎副総裁と、現職の鈴木俊一氏だけだ。

 もうひとつの経済分野の主要閣僚は経産相。かつて田中角栄元首相が「首相になるための条件」に挙げたポストだ。政権復帰後11年8カ月で10人が就任し、平均在任期間は約1年2カ月の短さ。小渕優子選対委員長と菅原一秀元衆院議員は「政治とカネ」の問題で、1カ月余りで更迭された。

 岸田政権では萩生田光一氏、西村康稔氏と裏金事件の表面化まで安倍派5人衆が続き、政権復帰後は最長の3年1カ月務めた世耕弘成氏を含め、今回の総裁選に安倍派議員は出られっこない。10人以上が出馬に意欲を示す中、経産相経験者は政権復帰後「第1号」の茂木敏充幹事長と現職の斎藤健氏だけだ。

■長期の安倍政権下で次世代育成を怠ったツケ

「歴代最長政権下で、安倍元首相が次世代育成を怠ったツケです。麻生氏の財務相独占もアベノミクスの一貫性を重視したというより、それぞれの母体である党内2大派閥の『力』を重視し、政権基盤の安定を優先させた結果です。『ポスト安倍は自分』と言わんばかりに、石破氏のような次をうかがう有力議員を干し続けた。就任1000日以上の岸田首相も同様で、『三角大福中』『安竹宮』と実力者が後継レースを競い合った往年の姿は見る影もありません」(立正大名誉教授・金子勝氏=憲法)

 総裁選は「ドングリの背比べ」。人材払底を確認する作業にすぎない。

 ◇  ◇  ◇

 ●関連記事『【もっと読む】小林鷹之氏「総裁選出馬会見」は拍子抜け…報道陣150人詰めかけるも、裏金議員に“忖度”』では、小林鷹之前経済安保相の出馬表明会見の様子を詳報している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください