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すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行(中川恵一)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月31日 9時26分

すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行(中川恵一)

(本人のインスタグラムから)

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 すい臓がんを公表する方が相次いでいます。富山県氷見市の林正之市長(67)は8月25日にステージ4のすい臓がんであることを公表。来年4月の任期満了を待たず、11月8日に辞任するそうです。経済アナリストの森永卓郎さん(67)も昨年末、ステージ4のすい臓がんであると公表し闘病しています(その後、原発不明がんと診断)。

 そんな中、順調な経過を報告したのが、日本テレビアナウンサーの菅谷大介さん(52)です。2年前にすい臓がんで手術を受けたことを公表していますが、先日、自らのインスタグラムに「日帰りで箱根旅行に行ってきました」と元気な姿を投稿しました。

 すい臓がんは難治がんとして知られますが、菅谷さんの投稿を見る限り元気そうなのは何より。すい臓がんでも、良好な経過をたどるケースをひもときます。

 まずひとつは、手術ができることです。すべてのステージを合わせた5年生存率は12%ですが、手術可能例に限れば3割超に(全がん協加盟施設調査)。菅谷さんも手術を受けてから抗がん剤治療を受けています。

 すい臓は頭部、体部、尾部に分かれますが、頭部にできると周辺臓器なども切除する大がかりな手術で難易度が高く、術後合併症の頻度も高い。菅谷さんが発症した体部は、両側を残して切除するためすい臓機能が良好に保たれやすい。手術では頭部側の切除面を閉鎖、尾部側は小腸につなぎますが、頭部より難しくなく、菅谷さんのケースも4時間で終わり、わずか3㏄の出血で済んだといいます。尾部は脾臓とともに切除するのみで、小腸とのつなぎ合わせがなくさらに簡単です。

 がんがすい臓のどこにできるかは運ですが、手術できるうちに発見できたのは菅谷さんの心掛けだと思います。毎年受けている人間ドックで、消化液のすい液を十二指腸に伝えるすい管の異常が見つかったそうです。すい管の異常を起こす病気はいくつかありますが、それをいち早く発見できたのは毎年の検査をおろそかにしなかったからこそで、すぐに精密検査を受けたこともいまに結びついています。

 ほかにリスクを挙げると、喫煙や飲酒、糖尿病、肥満があります。この4つは、いずれもそうでない人に比べて2倍を超えない程度の発症リスクですが、糖尿病の発症1年未満は5.4倍で、発症直後は要注意です。

 特に高リスクは、家族歴がある人とすい臓の異常。前者は近親者にすい臓がんの人が増えるほど高リスクで、3人以上は32倍。後者では、慢性すい炎は13~16倍、すいのう胞は3~23倍、すい管の異常は6倍です。

 こうしたリスクがある人は毎年、腹部超音波検査を受けること。菅谷さんもこれがキッカケでした。難治がんも治療できるタイミングで見つかりさえすれば、うまくいく可能性があることが分かると思います。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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