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「ブラックペアン2」でヤブ医者を怪演 今野浩喜の“顔ぢから”と“間の絶妙”はお笑い芸人ならでは

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月1日 9時26分

「ブラックペアン2」でヤブ医者を怪演 今野浩喜の“顔ぢから”と“間の絶妙”はお笑い芸人ならでは

一度見たら忘れられない顔(今野浩喜)/(C)日刊ゲンダイ

 俳優は目ぢからがあるとかいわれるけれど、今野浩喜は顔ぢからである。とぼけた雰囲気を振りまきながら、どこか凶暴なにおいがする。一度見たらもう忘れられない、強烈なその顔で、怪しい農民(テセウスの船)、コソ泥(鬼平犯科帳=映画)から、東京帝大助教授(らんまん)、やり手の経理部係長(下町ロケット)など、キャラクターも立ち位置もまったく違う役を見事に演じ分ける。

 NHK教養番組「偉人の年収」の寸劇では、これまでナイチンゲール、信長や秀吉、与謝野晶子、ベーブ・ルースらおよそ50人の偉人に扮した。アイフルのCMでは、大地真央に「愛はあるんか」と突っ込まれる気の弱そうな板前。お笑いコンビ・キングオブコメディのボケ役で鍛えられた顔芸と間のうまさが、それらを支えている。

 そしていまは「ブラックペアン2」(TBS系)の、手術がド下手な外科医・関川文則である。

「場面の端にちらっと出てきただけで、『あっ、何か起こりそう』『もう、ただじゃすまないぞ』と不安というか、ドキドキさせる役者っていますよね。今野もそうです。『ブラックペアン2』でも、難手術が成功して、最後の簡単な縫合を任せられて登場するのですが、案の定、臓器を傷つけて大出血を起こしてしまう。今野が登場すると、必ずひと波乱あるんです」(放送作家)

■サイドストーリードラマも爆笑

 だったらそんな彼を主役にしたドラマは面白いだろうと作っちゃったのが、「ブラックペアン2」のサイドストーリー「ブラックペアンと言いたくて…~万年ヒラ医局員の憂鬱な日常~」(TBS系木曜深夜1時59分)である。10分前後のショートドラマだが、これが本編以上に面白い。

 外科部門のトップが、権威の象徴として使う「ブラックペアン」(黒い止血用鉗子)にあこがれる関川だが、そんな力量も人望もないことは自分でもわかっていて、そのために後輩や看護師に八つ当たりしてしまう。それでますます自己嫌悪……。そんな医局での素顔を描く。垣谷雄次(内村遥)、田口公平(森田甘路)、パク・ミンジェ(キム・ムジュン)、宮元亜由美(水谷果穂)たちもそのままの役で出演している。

「日曜に放送された本編のエピソードを受ける形のストーリーになっていて、『あのシーンはそういうことだったのか、ナットク!』という解説だったり、関川以外の若手医師や看護師の腹の中も描かれます。TVerで第1話から配信中です」(テレビ情報誌編集デスク)

 9月6日公開の映画「夏目アラタの結婚」では、今野は連続猟奇殺人で死刑判決を受けた女性を監視する威圧的な刑務官を演じている。あの顔でドスを利かせたセリフ回しは怖い。

 それとはまったく逆の陽気な役どころで、来年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の出演もありそう。喜多川歌麿や東洲斎写楽を世に出した版元の物語で、江戸の町が舞台だ。今野は調子がいい商人役なんて似合うと思うよ。

(コラムニスト・海原かみな)

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