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95%が森林に囲まれた徳島県那賀町は「エビの陸上養殖」で地域活性化 水槽は廃校の給食室に

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月3日 9時26分

95%が森林に囲まれた徳島県那賀町は「エビの陸上養殖」で地域活性化 水槽は廃校の給食室に

森の町で海産物を養殖

 徳島県那賀町が全国で初めて、自治体が独自にビジネスオーナーとなるエビの陸上養殖に取り組んでいる。同町から委託を受けたのは、7月30日付の同コラム、ホテル三日月「エビの陸上養殖をスタート」で紹介したSeaside Consulting(平野雄晟・平野彩共同代表、千葉県安房郡鋸南町)。

 養殖池は昨年廃校となった那賀町立平谷小学校の約123平方メートルの給食室。タテ、ヨコ3×2メートル、深さ70センチの水槽3基に、実証実験として今年度は1000匹のクルマエビの稚魚の養殖からスタートした。

「(8月)20日に平均5グラム、約10センチの大きめなクルマエビの稚魚を池入れしました。養殖の成功はすでにホテル三日月で実証済みなので立証する必要はありませんが、那賀町での実証試験では、①地元の水に合うか、②関係者に食べていただき味はどうか、そして③販路の確保の3つが確認ポイントになっています」(平野雄晟代表)

 那賀町は徳島県南部に位置し、95%以上が森林に囲まれた中山間地域。2005年の平成の大合併時に鷲敷町、相生町、上那賀町、木沢村、木頭村の5町村が合併して誕生した。合併当時1万人を超えていた人口は現在7133人、世帯数3656世帯に減った(7月現在)。

 同町で養殖事業を担当する那賀町役場上那賀支所地域振興室の蔭佐和也室長補佐がエビ養殖事業の導入をこう言う。

「少子高齢化、人口減少への対応で、町の活性化には他の自治体がやらないことをやろうと。博報堂プロダクツと地域活性化包括連携協定を締結し、『那賀町みらい創造プロジェクト』の一部門でエビの養殖事業の実証実験をスタートしました」

 養殖池の海水は、那賀町から35キロ南下した日和佐漁港内にある地下水から9トンをくみ上げて運んだ。そして、微生物を活性化させ、病原菌の抑制作用のあるフルボ酸液を加え循環させて水槽内の水質を保っている。

■陸上養殖を拡大し、地域活性化へ

 3基の水槽にはそれぞれ360匹が養殖されているが、10月末には一部を水揚げし、地元小学校などでイベント、PRを予定。クルマエビの出荷のピークとなる12月には、来年度に向けて本格的なPRが開始される。

「那賀町の特産品として生きクルマエビや加工品などの販売を県内外に広めていきたい。また、養殖事業の民間企業への売却も検討中です」(前出の蔭佐氏)

 文部科学省は少子化の影響で毎年平均470校の廃校が発生すると試算している。先の平野氏が言う。

「廃校の施設利用を大きな産業化にしていくことは可能です。エビに限らず陸上養殖を拡大して雇用を創出、日本全体の食料自給率を上げていく大きなビジョンを考えています」

 地域活性化が日本全体の活性につながっていく。

(木野活明/ジャーナリスト)

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