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田中金脈vsメザシの土光…自民党の金集めで頼りになった経団連に命運を握られることに【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月4日 9時26分

田中金脈vsメザシの土光…自民党の金集めで頼りになった経団連に命運を握られることに【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】

【自民党への企業献金(31~60位=1976~2022年)】/写真=田中角栄元首相(上)と土光敏夫元経団連会長(C)日刊ゲンダイ

【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#2

 自民党が裏金問題を契機に政治資金規正法を改正する際、決して企業・団体献金の禁止に踏み込まなかったのはなぜだろう。それはある呪縛が解けないからではないか。

「政治は数、数は力、力は金」

 田中角栄がよく口にした。金を集めるのに頼りになったのが日本経団連だ。自民党が結党したのは1955年だが、それよりも9年早い46年に設立した。長らく、自民党への献金を会員の大企業に促してきた。

 74年、首相の田中は窮地に陥っていた。自身が提唱した「列島改造」や「石油危機」で物価が急上昇。反比例して内閣支持率は約20%まで落ち込んだ。自民は与野党逆転の危機にあった。

 同7月の参議院選挙で、田中は「企業ぐるみ選挙」を展開する。資金提供と選挙運動を大企業グループに担わせたのだ。田中自身はヘリコプターをチャーターし、全国約150カ所で演説して回る。新幹線や高速道路をどんどん造るぞと豪語した。

 この選挙は「金権政治」と批判された。「8億円使えば当選し7億円だと落選」という意味で、「8当7落」と表現された。

 だが選挙は負けた。改選議席130のうち自民は62で、過半数を割り込んだ。

■「国民は政界と財界は同じ穴のムジナだと言っている」

 翌8月、自民は「泣きっ面にハチ」となる。経団連が、会員企業に献金額を割り振る「斡旋」をやめる方針を決めたのだ。土光敏夫会長が、田中に申し入れた。

 土光は当時、東芝の会長。その後は鈴木善幸政権のもと「増税なき財政再建」に取り組み、「行革の鬼」と言われた。自身も「おかずはメザシだけ」というエピソードが残るほどの倹約家だった。

 土光会長は献金の斡旋取りやめについて、記者会見で言った。

「今は経団連にとって、政界と財界が癒着しているという国民の誤解を解くことが急務だ。国民は政界と財界は同じ穴のムジナだと言っている」

「経団連としては、あくまで李下に冠を正さずだよ」

 政治権力の源泉が金だと信じている以上、自民は金を持っている経団連に主導権をとられる。以降も、経団連に命運を握られることになる。(敬称略)

▽渡辺周(Tansa 編集長)日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!

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