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田中角栄が退陣、首相に就いた三木武夫が「企業献金禁止」を提唱するもトーンダウン【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月5日 9時26分

田中角栄が退陣、首相に就いた三木武夫が「企業献金禁止」を提唱するもトーンダウン【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】

【自民党への企業献金(61~90位=1976~2022年)】写真は、三木武夫首相(当時)/(C)日刊ゲンダイ

【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#3

 今年6月19日、政治資金規正法が改正された。野党が求めた企業・団体献金の禁止は盛り込まれなかった。だが首相の岸田文雄は2日後、記者会見で「これまで積み上げてきたさまざまな取り組みの大きなステップ」と言った。その自民党にかつて、企業献金の禁止を提唱した人物がいる。三木武夫だ。

 三木は1937年に30歳で衆院議員に初当選した。戦前は米国との戦争に突入していくことに公然と反対した。戦後は協同民主党という政党に参画。労働者や零細事業者、農民らによる協同組合を活用する政治を実現しようとした。自民には55年の結党時から参加した。

 しかし、自民は労働者や零細業者のための政党ではない。74年7月の参議院選挙では、資金提供と選挙運動を大企業グループに担わせる「企業ぐるみ選挙」を展開した。総理総裁の田中角栄が金権政治で世論から批判を浴びる。ジャーナリストの立花隆は文芸春秋で「田中金脈問題」を追及した。田中は74年12月に退陣した。

 首相に就いたのが三木だ。「企業献金の禁止」を掲げていた。翌75年1月の国会での施政方針演説では次のように語っている。

「政治全体の信頼回復のために、今日の選挙のあり方、政治資金のあり方にもメスを入れようではありませんか」

 しかし、三木はトーンダウンしていく。75年の政治資金規正法改正で企業献金は禁止されなかった。企業の規模に応じた献金限度額が設けられただけだった。

■「おカネをもうけるなら商人になれ」

 76年、「ロッキード事件」が発覚する。ロッキード社からの航空機の売り込みをめぐり、田中が5億円の賄賂を受け取ったことなどが裁かれた。三木は真相究明を掲げたが、党内から反発されて退陣を迫られる。「三木おろし」だ。結局、この年の選挙で自民が大敗したことを機に、三木は首相の座から降りた。

 妻の三木睦子の著書「信なくば立たず」(講談社)によると、三木武夫は生前、よく言っていたという。

「政治家はおカネもうけするものではない。おカネをもうけるなら商人になれ」(敬称略)

▽渡辺周(Tansa 編集長)日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!

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