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足を切断した後に起こる「幻肢」に対する治療はあるのか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月5日 9時26分

足を切断した後に起こる「幻肢」に対する治療はあるのか?【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

切断後の生活に不安を抱えるケースが少なくない

【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#34

 足の切断を控える患者さんの中には、「義足はどういった構造をしているのか」「自分でも歩けるのか」など、切断後の生活に不安を抱えているケースが少なくありません。そういった方に対しては、下腿切断される方であれば下腿義足を履けるかどうかの指標となる膝立ちをしてもらい、それができれば術後1カ月で杖をつきながらの歩行が可能とお伝えしています。切断後の生活についてイメージできるよう、具体的にお話しすると、切断自体への受け入れもスムーズに進む場合もあります。

 とりわけ切断後に起こりやすいのが、「幻肢・幻肢痛」です。これは失ったはずの足が存在しているかのように感じて、その幻の足が痛むのが特徴で、切断者の約70%に発症するといわれています。電気が走るようなズキズキとした痛みや、ロープで引っ張られるような痛み、ねじられるような痛みが数秒から数分、数時間にわたって生じます。通常、幻肢痛は数年かけて治まりますが、患者さんの日常生活に支障を来す厄介な症状です。

 これまで幻肢痛に対して、「ミラーセラピー」と呼ばれる、体の正中線上に鏡を置き、健常な足だけを動かしてあたかも幻肢が動いているかのように錯覚させる治療法などが用いられています。また切断によるボディーイメージの混乱で幻肢を生じることもあり、切断後に弾性包帯で切断端を巻く「ソフトドレッシング」で断端の形を整えてから、シリコーンライナーという断端を覆うパーツを着けて義足を作り、早くから義足を装着して歩くことで、義足をご自身の体の一部として受け入れて、幻肢を感じにくくさせます。

 下腿義足であれば、術後約1カ月で杖をついて歩けるようになり、3カ月で公共交通機関を利用しての移動ができます。切断前から日常的に走る習慣があった人であれば、義足を履いて走れる可能性も高いでしょう。さらに、義足の装着にかかる時間は5分ほどと短いですが、患者さんによっては快適に歩くために義足の向きを変える微調整を行うので、おおむね15分前後かかるとされています。

 切断後の不安を軽減させるためにも、切断手術の前から義足に関する知識を身に付けておくことが大切です。

▽寺門厚彦(てらかど・あつひこ) 1995年聖マリアンナ医科大学卒業。2005年順天堂大学リハビリテーション医学助教を務め、06年公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所嘱託医。19年順天堂大学足の疾患センター装具外来を担当。

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