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《小久保監督 #2》「昭和の古さ」と「令和の新しさ」が融合した柔軟的思考の勉強家【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月6日 17時0分

《小久保監督 #2》「昭和の古さ」と「令和の新しさ」が融合した柔軟的思考の勉強家【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

小久保監督(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#2

 小久保監督(2)

  ◇  ◇  ◇

 2012年に現役を引退した小久保裕紀監督(52)が指導者としてホークスに復帰したのは21年。当初はヘッドコーチに就任しましたが、なにしろ厳しい人なので選手からはやや怖がられていました。

 22年から2年間、二軍監督を任されると次第に選手個々と接点が増え、そこで小久保監督自身の考え方がチーム内に浸透。「この人を胴上げしたい!」という選手が多くなりました。

 小久保監督の考えで一番重要なのが、「野球選手である前に社会人であれ」ということです。ペットボトルの中身が余ったら、ちゃんと捨てましょう。ペットボトルも所定のゴミ箱に捨てましょう。寮のスリッパはちゃんと下駄箱にしまいましょう……。二軍監督時代は、そうした身の回りの常識を若手に教え込んでいました。

 小久保監督の凄いところは、注意したことを若手が出来るようになるまで、いつまでも言い続けられることです。

 そんな姿を見て、思い出したのが、ホークス出身で長年コーチを務めていた森脇浩司さんです。僕が二軍マネジャーだったある時、二軍監督の森脇さんが、

「なあマネジャー、コーチの仕事ってどう思う?」

 と聞いてきた。僕は「教えるのが仕事なんで、大変だと思います」と、通り一遍の回答をすると、森脇さんは僕にこう言いました。

「教えるだけじゃダメなんだ。どれだけ言い続けられるかが、ポイントなんだよ」

 おそらく、小久保監督は森脇さんに同じことを言われたことがあったのではないか。秋山幸二さんの背中からケガに対する姿勢を学んだように、森脇さんからも良い影響を受けているんだと感じたものです。

 とはいえ、読者の中には「いかにも口うるさい昭和タイプじゃないか」と思う人もいるでしょう。しかし、小久保監督は誰よりも勉強家。古き良きものは残しつつ、新しいものを取り入れることにためらわない人です。これまでになかったことを提案されるとまず、「じゃあやってみようか」と柔軟な考え方が出来る。

 二軍でピッチングマシンの「アイピッチ」を導入したのも小久保監督です。プロ野球の誰々の球速や回転数などのデータを入力すると、その投手が投げるボールを再現してくれるマシン。変化球にも対応しています。もっとも、回転数などがまったく同じでも、マシンが投げるのと人間が投げるのとでは感覚が違う。選手も最初は戸惑っていましたが、徐々に慣れてくると「これ、いいよね」と、今では一軍でも使われているし、他球団が導入したという話も聞いています。

 昭和の考えをベースに残しつつ、進化のための勉強を怠らない。それが小久保監督なんです。そして、後輩たちにもさまざまな影響を与えている。その一人が柳田です。(次回は柳田編#1)

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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