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キャディー人生で最大の失敗劇…本当は思い出したくないけれど、そのすべてを話します【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#1

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月13日 11時42分

キャディー人生で最大の失敗劇…本当は思い出したくないけれど、そのすべてを話します【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#1

新海美優(C)日刊ゲンダイ

【プロキャディー25年 梅ちゃんのツアー漫遊記】#1

 みなさん、こんにちは! プロキャディーの梅ちゃんこと、梅原敦です。よろしくお願いします。

 1998年、アルバイトで藤田寛之プロのバッグを担いだことをきっかけに、翌99年から藤田さんの専属キャディーになりました。2014年にフリーになってからは、多くのプロとのコンビで優勝の喜びにも浸り、海外メジャーの厳しい戦いも経験しました。

 感動のドラマはおいおいお話ししますが、今回は25年にわたるキャディー人生で最大の失敗劇を振り返ります。本当は思い出したくないんですよ。

 あれは、新海美優プロとタッグを組んだ17年の女子ツアー「ニチレイレディス」でした。

「一緒に頑張って優勝しよう」

 実質プロ3年目の美優ちゃんに、そう言って初日を迎えると、3アンダー8位と好スタートを切りました。2日目もボギーなしの68。通算7アンダーで2位浮上です。最終日は通算11アンダーのテレサ・ループロと緊張の最終組。美優ちゃんは前半の3バーディーで1打差まで迫りますが、12番、13番の連続ボギーで再び4打差。それでも「残りホール全部バーディーを取ろう」と励まし、3打ビハインドで17番(178ヤード・パー3)のティーイングエリアに立ちました。

「13勝もしているテレサプロだってミスはある。17、18番で連続バーディーなら勝負はわからない。6番アイアンではグリーンに乗るだけ。ピンそばにつけるなら5番ユーティリティー(UT)だ」

 僕はそう考え、バッグから5UTを抜きました。美優ちゃんは僕のジャッジを信じてフルスイング。ところが、ピンに向かっていた高弾道のボールはグリーン奥へ着弾すると、そのままグリーン下へ消えていったのです。

「6番でよかったのか……」

 悔やんでも後の祭りです。

 ボールのところへ行ってみると、林の中で目の前の木々が邪魔です。仕方なくアンプレアブルを宣言。「フルショットの方がいい」と2人で話し、ピンまで90ヤードの距離まで下がってボールをドロップしました。美優ちゃんはウエッジでグリーンに乗せましたが、ボギーパットが惜しくも外れて痛恨のダブルボギー。単独2位も逃し、3人が並ぶ2位タイですから賞金は100万円以上の減額です。

 上空にはややフォローの風が吹いていました。初の優勝争いでアドレナリンが出ていたことも、いつもなら察知できるのに、首位に追いつこうと、僕が冷静さを欠いていたのです。

 試合後、美優ちゃんが声を震わせながら「梅さんがいたから……ここまで……頑張れたんです」と言ってくれましたが、一生悔やむジャッジミスでした。

 美優ちゃんはこの年、賞金ランク39位で初めてシードを獲得。一緒に戦った選手のシード入りがこれほどうれしかったことはありません。

 ちなみに、今週の「ソニー 日本女子プロ選手権」(沖縄・かねひで喜瀬CC)は、藤田かれんプロとのコンビで頑張ります。

(梅原敦/プロキャディー)

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