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梅毒は全国的には頭打ち傾向も…なぜ北海道は減少し、神奈川や岡山で増加しているのか?

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月7日 9時26分

梅毒は全国的には頭打ち傾向も…なぜ北海道は減少し、神奈川や岡山で増加しているのか?

(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 国立感染症研究所は3日、感染症発生動向調査(IDWR)速報データ第34週(8月19日~26日)を発表した。

 梅毒の新規感染報告件数が新たに197件が報告され、今年の累計数は9138件となった。これは前年同期比で660件減少の9798件となった。

 減少が目立つのは北海道(マイナス156件)、広島(同114件)、大阪(同97件)、東京(同75件)、愛知(68件)。逆に増加が目立つのは神奈川(プラス55件)、岡山(同39件)、茨城(同33件)、栃木(同16件)、大分(同13件)など。

 梅毒の大都市圏での減少と地方での増加について「プライベートケアクリニック東京」新宿院の尾上泰彦院長が次のように解説する。

「北海道では梅毒の新規感染の年間累計報告件数が2020年の122人から、2023年には681人に急増しました。今回の数値はあくまでも速報データであり、確定値ではありませんし、それがトレンドになるかはまだ判断できません。ただ、転換点を迎えたとすれば官民が感染症対策に力を入れた結果でしょう」

 実際、北海道庁では梅毒のリーフレットを作成して梅毒についての情報をホームページアップしているほか、道立保健所では保健師による相談対応、感染に不安がある人のための無料の梅毒検査を積極的に行っている。北海道内で風俗店を経営する経営者の中には梅毒を含めた性感染症対策のためのセミナーを積極的に開いているケースもある。

「しかし、まだ安心はできません。梅毒との関係が深い性器クラミジアの7月データを見ると、北海道は定点あたりの全国平均2.73件に対して4.40件と大きく上回っています。とくに女性は全国平均1.39件に対して2.93件と倍以上になっていて、性器ヘルペスも全国平均の0.88件が北海道では1.43件です」 一方、神奈川県の急増は、感染症の専門医以外の医師らの報告が増えてきたのが原因ではないか、という。

「首都圏に住み梅毒を疑う人は、地元の医療機関での受診を避け、東京の性感染症専門病院等を受診する傾向にあります。今回、神奈川県での新規感染者数が増えたのは、梅毒だと疑わずに別の病気で受診した際に梅毒が見つかったケースが多いのではないのでしょうか。神奈川県内の自治体は梅毒の感染対策に熱心に取り組んでいて、保健所や医師会が医療関係者向けのセミナーを頻繁に開き、情報共有に務めています。そのおかげで、発見されていなかった梅毒が見つかるようになったのかもしれません」

 気になるのは地方の増加。たとえば岡山では、人口100万人あたりの新規梅毒報告者数が2022年では全国8位だったが2023年には4位となっている。

「地方ではもともと少なかった店舗型の風俗が新型コロナにより減少もしくは消滅し、SNSやマッチングアプリを通じ、性感染症の知識のない女性の売春が増えたことが一因かもしれません。また、地方によっては梅毒の感染拡大の恐ろしさを認識していない行政・医療関係者もいて、感染拡大阻止の啓蒙にあまり熱心でないように見える地域もある。関係者の認識の差が新規感染報告件数の差につながっている可能性があります」

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