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低反発バットの導入でこれからさらに高校野球が変わる。「必要な選手」と「有効な作戦」とは(小倉清一郎)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月9日 9時26分

低反発バットの導入でこれからさらに高校野球が変わる。「必要な選手」と「有効な作戦」とは(小倉清一郎)

決勝で好投した京都国際のエース中崎(C)日刊ゲンダイ

【松坂、筒香を育てた小倉清一郎 鬼の秘伝書】#207

 京都国際が関東第一(東東京)との延長戦を制して初優勝した夏の甲子園。決勝戦でのタイブレークは史上初だったそうだが、寂しさを感じた。せめて決勝戦だけは、2022年まで採用していた「十二回までは通常の延長戦を戦い、十三回からタイブレーク」に戻してもいいのではないか。

 スポーツ紙によれば、48試合のうち決勝を含めた7試合が2-1、5試合が1-0とロースコアの試合が多かった。実際、試合時間が短くなった印象だ。

 今春から導入された低反発バットの影響で、本塁打は前年の23本から7本に激減。京都国際はゼロだった。打球が飛ばないため、外野手の守備位置がかなり前になった。「フライ」と「ライナー」の中間的な「ハーフライナー」の安打がよく出たが、今後はさらに増えるだろう。

 詰まった前へのゴロに対応するため、内野手はもう少し前に守ってもいいと感じた。二遊間の守備力が重視されるのは当然だが、これからは三塁手、一塁手の守備力も大事になる。決勝を戦った京都国際と関東第一、8強で敗れた東海大相模(神奈川)など、上位に残ったチームは守備力が高かった。

 無死一、二塁から始まるタイブレークの際に重要になるのが送りバントだが、本塁打が出ないなら、セーフティーも有効である。

 まずは三塁線ギリギリを狙ってみる。ファウルになってもいい。相手に三塁側へやってくると警戒させた上で、次は投手、一塁手、二塁手の間に転がす。特に左打者なら成功する確率は高い。

 投手ではいい左腕が目立った。

 京都国際の2枚看板、特にエースの中崎琉生は腕が遅れて出てくるから打ちにくい。関東第一、4強の神村学園(鹿児島)、8強でも東海大相模、智弁学園(奈良)、大社(島根)のエースクラスが左腕だった。左打者だろうが右打者だろうが、臆せず内角に140キロ級の直球を投げ込めれば、飛ばないバットならほぼ詰まる。仮に甘く入っても怖くない。さらに右打者の外角に直球、スライダー、チェンジアップの3球種を使い分ける投手が勝ち上がった。絶対数が少ない左投手に対する練習量が足りないため、好左腕の攻略は難しいのだ。

 石橋(栃木)の監督が「飛ばす才能では強豪私立の子に負けていても、このバットで低く強い打球を練習で徹底できれば、公立にとって有利になりうる」とコメントしていた。まさにその通りで、センターから逆方向へ低く強く打つことを徹底した大社などの公立校が旋風を起こした。

 これからさらに高校野球は変わる。守備力に難があっても、打球を遠くに飛ばせるパワーのある体の大きい選手、逆に打撃に難があっても、内野守備と小技がうまい小兵タイプ、両極端の選手の需要が増すとみている。

 ファン目線では、本塁打が出ない野球はつまらないだろう。賛否両論の飛ばないバットを続けるのか。議論の余地はありそうだ。

(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

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