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観光業界で仁義なき「人材の奪い合い」勃発! 今年度の訪日客は過去最高の3500万人

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月10日 9時26分

観光業界で仁義なき「人材の奪い合い」勃発! 今年度の訪日客は過去最高の3500万人

観光地は外国人でいっぱい(C)日刊ゲンダイ

 コロナ禍を乗り越えた観光業界がいま、当時と真逆の観光客増加による生き残りのため新たな課題に直面している。

 日本政府観光局が8月21日に発表した1~7月の訪日外国人観光客数は2106万9900人と、過去最速の2000万人突破となった。さらに、この勢いが続けば今年度の訪日観光客は3500万人と試算する。

 こうした訪日客の需要急増にホテル、旅館では人手確保に火花を散らす激しい争奪戦が繰り広げられている。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が最近の話としてこう述べる。

「先日、最高にうまい料理を出す長崎県の高級ホテルに宿泊したら味が落ちていた。シェフが辞めたということでしたが、待遇、条件で引き抜かれたようです。また、沖縄では高級リゾートホテルが、近くにオープンした外資系ホテルにスタッフが数十人も引き抜かれ、評価を大きく落としています。いま全国のホテルで人材の奪い合いが始まっています」

 岸田文雄首相は、7月19日に首相官邸で開いた観光立国推進閣僚会議でこう語っている。

「外国人の地方滞在を後押しするため、2031年までに全国35カ所すべての国立公園に高級リゾートホテルを誘致する」

 同時に政府は30年には訪日客数を6000万人、消費額15兆円という目標をぶち上げている。そのためには高級ホテルの進出は欠かせないのだろうが、先の瀧澤氏がこう指摘する。

「一流ホテルほど経験値の高い人材を揃える必要があります。ところが高級ホテルほど人手不足が深刻で、採用しても現場に慣れるまでには少なくても3カ月はかかる。私はこの間は高級ホテルでも新築ホテルには行きません」

 また、ホテルの人材争奪戦は周辺の他業種にも影響を与えていると次のように言う。

「新しいホテルの周辺にできる商業施設は、ホテルより高い賃金で求人募集しています。上げなければ人が集まらないんです」

■特定技能外国人に注目

 まさにホテル内外で仁義なき人の奪い合いが行われているのである。こうした人手不足が深刻化するなか業界から注目されているのが、特定技能外国人の採用だ。東急グループでは52人の外国人を初めて採用している。

「タイなど東南アジアからの訪日客が増え、英語だけではなく他言語の必要性が増えています。特定技能外国人の採用は接客も有利になり、マネジャーが外国人というケースや、外国人を正社員化するホテルも出てきています」(瀧澤氏)

 東京商工リサーチによると23年の新設旅行・宿泊業は1560社と前年(981社)の59%増加した。観光業界の人材確保はさらなる熾烈な競争が避けられない。

(木野活明/ジャーナリスト)

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