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副鼻腔炎の治療は進歩している(1)慢性化して嗅覚が低下すると認知症リスクが高くなる

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月10日 9時26分

副鼻腔炎の治療は進歩している(1)慢性化して嗅覚が低下すると認知症リスクが高くなる

早期の治療が肝心

 鼻水や鼻詰まりに悩まされる「副鼻腔炎」。国内の患者数は100万人以上とされ、放置するとあらゆる合併症を引き起こすリスクが高い。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科学教室教授の鴻信義氏に聞いた。

 副鼻腔炎とは、鼻の穴(鼻腔)の周りにある左右4対の空洞(副鼻腔)に、炎症が起こった状態だ。

「ウイルスや細菌に感染したり、花粉やハウスダストへのアレルギーにより鼻腔の粘膜に炎症が起こると、粘膜が腫れて鼻腔と副鼻腔をつなぐ通り道を塞ぎます。粘液を外に排出できなくなって副鼻腔内に膿がたまると、鼻詰まりや粘り気のある鼻水、鼻水が喉に垂れ落ちる後鼻漏のほかに、頭痛や頬の痛みといった症状を引き起こすのです。通常は投薬などで1カ月以内に治まりますが、3カ月以上続く場合には『慢性副鼻腔炎』と診断されます」

 慢性副鼻腔炎に移行する要因の一つに挙げられるのが、免疫力の低下だ。糖尿病患者や高齢者、抗がん剤治療を受けていると抵抗力が低下し、急性副鼻腔炎を繰り返して慢性化する。さらに、喫煙は鼻の粘膜が慢性的に刺激を受け、副鼻腔炎のもととなる細菌感染を起こしやすくする。

 また、鼻の穴の左右を隔てる鼻中隔が湾曲し、鼻腔の通りが悪い「鼻中隔湾曲症」の場合、鼻腔・副鼻腔間の換気がうまくいかず、細菌が繁殖して慢性副鼻腔炎になりやすいという。

「慢性副鼻腔炎は、急に症状が現れる急性副鼻腔炎と違って症状に慣れてしまい、受診するタイミングが遅れやすい。後鼻漏によって気管支炎が引き起こされると、咳や痰の症状が見られます。長引く炎症による嗅覚の低下は将来的な認知障害のリスクを高くさせる。また、鼻詰まりが招く睡眠の質の低下は、睡眠障害だけでなく生活リズムが乱れて糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病につながる恐れがあるので注意が必要です」

 ほかにも炎症が副鼻腔の周囲に広がると、目が腫れて視力の低下を引き起こしたり、まれではあるが、脳に広がれば髄膜炎を発症させる恐れがある。

 とりわけ近年は、白血球の一種である好酸球が過剰に活性化して副鼻腔炎を起こす「好酸球性副鼻腔炎」の増加も問題視されている。副鼻腔内にキノコのような鼻茸(ポリープ)ができるのが特徴で、一般的な慢性副鼻腔炎に比べて粘り気のある鼻水がたまったり重度の嗅覚障害を起こしやすい。気管支ぜんそくとの合併も多く報告され、治療に苦労しやすいことから国の指定難病にも認定されている。

 合併症を防ぐには、早期の治療が肝心だ。

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