技術とメンタルが試される「ナショナルオープン」は見所満載…タフな状況でどれだけスコアをつくれるか(羽川豊)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月11日 9時26分
藤田寛之(C)共同通信社
【羽川豊の視点 Weekly Watch】
ナショナルオープンの「季節」がやってきました。幕開けの日本シニアオープンは9月12日から千葉CC川間Cで始まります。26日からは茨城の大利根CCで日本女子オープン、10月10日には埼玉の東京GCで日本オープンが初日を迎えます。今年の3大会は関東に集中しました。
プロはどんな大会でも優勝を目指して力を尽くしますが、男子プロなら、日本オープンや日本プロ、日本シリーズ、日本ゴルフツアー選手権、日本シニアオープンといった公式戦は、やはり思い入れが強い。
「賞金が高い」「複数年シードが取れる」ということはモチベーションになります。
その舞台は、通常のトーナメントとはコースセッティングが大きく異なります。中でも日本オープンは、開催コースの状況などにもよりますが、フェアウエー幅を狭め、ラフを伸ばし、グリーンを硬く締め、ボールの転がりを速くする。わずか1ヤードのミスでガードバンカーへ落ちやすくするなど、コース難度が格段に上がります。タフな条件は選手の技術を最大限に引き出し、時にパーセーブにも苦しむ我慢比べの展開になる。選手は厳しい戦いになるほど勝利への意識が高まるものです。また、ナショナルオープンは、ゴルフ史に名を刻むことも名誉なことです。
私は1980年にプロテストに合格。プロ初勝利が翌年の日本オープン(岐阜・日本ラインGC)でした。国内最高峰の大会は、クラブハウスに入った瞬間から「静寂」と「重み」というか、独特の雰囲気があります。出場選手からは厳しい戦いを前にしての緊張感が伝わってきます。
私が勝った年はまだ、青木(功)さんと中嶋(常幸)さんは日本オープンの優勝経験がなく、「おまえらにタイトルは渡さんぞ」と言わんばかりに険しい表情を見せていました。
タフな状況でどれだけスコアをつくれるか。ラフに入れたら無理してパーを狙わず、ボギーでよしとするホールもある。一打もおろそかにできない日本オープンは昔から「1日目が終わっただけでヘトヘトになる」といわれています。これは女子もシニアも同じこと。ファンにとっては、これ以上見応えのある国内大会はないでしょう。
今思えば、プロ2年目に日本オープンと日本シリーズに優勝できたのは、怖さ知らずと勢いによるものです。それが翌年のマスターズ15位にもつながったのでしょう。
今年のシニアオープンの会場は下見で回りましたが、やっぱりラフが長い。ヘトヘトになる戦いを楽しんできます。
(羽川豊/プロゴルファー)
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