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“プロ経営者”魚谷雅彦氏は資生堂会長退任のタイミングを逸してしまった(有森隆)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月11日 9時26分

“プロ経営者”魚谷雅彦氏は資生堂会長退任のタイミングを逸してしまった(有森隆)

資生堂の魚谷雅彦会長CEO(C)日刊ゲンダイ

【企業深層研究】資生堂(上)

 資生堂は7月30日、藤原憲太郎社長が2025年1月1日付で最高経営責任者(CEO)に就任すると発表した。魚谷雅彦会長CEOは24年12月31日付で退任する。25年3月下旬に予定する定時株主総会で取締役も退任し、グループのシニアアドバイザーとなる。

 “プロ経営者”と評される魚谷が、今年いっぱい経営トップであり続けることは驚きだ。業績悪化のなか、退任のタイミングを逸した感は否めない。

 24年6月中間決算(国際会計基準)で赤字に転落した。営業利益は27億円の赤字。中国人の消費意欲低下を背景としたトラベルリテールが大幅な減益となった。これに加え、国内で早期退職を含む構造改革費用220億円を計上したため、純利益は前期比99.9%減の1500万円となった。

 24年12月期通期の業績予想は、売上収益が前期比2.8%増の1兆円、純利益は1.1%増の220億円の見込みを据え置いた。

 資生堂は、日本コカ・コーラで数々のヒットCMを手掛け、伝説的なマーケティングのプロの魚谷雅彦に低迷しているブランドの再生を託した。14年4月、社長に就任。140年を超える歴史を誇る同社で役員経験のない外部の人間が社長に就任するのは初めてのことだった。

 社長(当時)の前田新造から「資生堂のマーケティングを立て直してほしい」と頼まれた。

 資生堂は百貨店の化粧品売り場と、全国に張り巡らした化粧品専門店を2本柱に化粧品のトップメーカーの地位を不動のものにしてきた。しかし、1997年4月、化粧品再販制度の撤廃から長期低落が始まった。価格決定権がメーカーから小売業者に移り、販売チャネルは大きく変わった。

 得意としてきた百貨店向け高級化粧品が低迷。資生堂を支えてきた化粧品の専門店は減少した。代わって、ネット通販系の化粧品が台頭してきた。国内ではかつての王者・資生堂の独り負けが続いた。

「化粧品のイロハも分かっていないド素人に何ができる」。当初、魚谷を見る社内外の目は冷ややかなものだった。

 しかし、プロ経営者はタダモノではなかった。魚谷が社長に就任する直前の14年3月期の業績は売上高7620億円、営業利益496億円だった。それが17年12月期(15年から決算月変更)には売上高1兆50億円、営業利益804億円と業績を大きく伸ばした。20年を目標としていた「売上高1兆円」の中期経営計画を3年前倒しで達成。低迷していた業績を立て直した。

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