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熱中症の相談が多数…暑さを自覚せず自宅で発症したケースも【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月11日 9時26分

熱中症の相談が多数…暑さを自覚せず自宅で発症したケースも【老親・家族 在宅での看取り方】

蒸し暑い日が続く…(C)日刊ゲンダイ

【老親・家族 在宅での看取り方】#110

 長雨月となりようやく暦のうえでは秋となりましたが、それでもまだまだ日中は蒸し暑い日が続きます。引き続き熱中症には気を付けていただきたいと思います。

 今年の夏は熱中症に関する相談が少なくありませんでした。高齢者は暑さを自覚しづらく、熱中症になりやすい。地域の高齢者総合相談センターや地域包括支援センターからは、「熱中症疑いだが、ご本人が病院に行きたがらない。往診してもらえないか」といった相談もありました。

 膠芽腫(こうがしゅ)の末期である70代の女性も、熱中症がきっかけで当院とつながった患者さんです。膠芽腫は脳腫瘍のひとつで、高齢者に多く、最も悪性度が高いとされています。頭痛やけいれん、手足の動かしにくさ、しゃべりづらさなどさまざまな症状が現れる病気で、この女性の場合、さらに排尿障害も抱えておられました。

 もともと娘さんの介助を借りてやっと通院されていたのですが、今年の7月、自宅で熱中症を発症。たまたま訪れた娘さんの119番通報で救急病院に搬送され、入院。退院後は体力が衰え、ADL(日常生活動作)が低下したことで通院が厳しくなり、自宅での療養をサポートするために当院で在宅医療を始めることになったのでした。

 熱中症で入院し一命を取り留めても、体力のない高齢者では退院後、元の生活に戻れないことがほとんどです。

 暑い時季は、冷房の使用の有無・飲水量・排尿回数の観察、わき・頚部・大腿部などのクーリング(冷やす)をし、繰り返し熱中症を防ぐためのアドバイスをしています。

 それでも熱中症と思われる症状となった場合は、クーリングしつつ、脱水症状を和らげる点滴を行います。

 水分補給については、汗で出てしまった量に見合った水分を摂取する必要があるため、経口補水液や、糖尿病の心配がない人にはスポーツドリンクなど、糖質が含まれる市販の電解質の飲料水を飲むことを勧めています。その場合も、一度にたくさんの水分を取ってもうまく吸収できないため、こまめに少しずつ、のどが渇いたと感じていなくても意識的に取るように伝えています。

 排尿障害があったり、足が不自由な方では、トイレを心配して水分摂取を控えがちに。しかし、この暑さの中では水分補給は非常に重要です。それをきちんと説明し、理解してもらうことも在宅医療にとって大切な務めだと考えています。

 前述の70代の女性は、対人関係の壁が高く関係構築までに時間がかかりました。私たちのアドバイスを快く聞き入れてもらうために、毎回同じ医師で訪問するのはもちろん、同じ診療パートナーで訪問するように心掛け、水分だけでなく心の調整も行うように努めたのでした。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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