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芥川賞作家・宇能鴻一郎さん死去…元気の秘訣について〈「女、酒、歌」ですね〉とズバリ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月11日 16時3分

芥川賞作家・宇能鴻一郎さん死去…元気の秘訣について〈「女、酒、歌」ですね〉とズバリ

作家の宇能鴻一郎さん(C)日刊ゲンダイ

 芥川賞作家で官能小説家としても知られる宇能鴻一郎(本名・鵜野広澄)さんが先月28日、心不全のため横浜の自宅で死去した。90歳だった。葬儀は近親者で行った。

 宇能さんは1934年生まれ。満州からの引き上げで、その後、東大で国文学を学び、1962年、「鯨神」で芥川賞に輝いたが、純文学ではなく、官能小説に転じ、日刊ゲンダイやスポーツ紙などで大活躍。「あたし……なんです」という一人称の語り口が人気を博し、大流行作家になった。最後の連載は2006年に日刊ゲンダイに連載された「女界万華鏡」だが、21年に新潮社から傑作短編集を出し、幻想的な文学世界も見せた。

 私生活では金沢八景の丘の上にお城のような自宅を建て、大きなホールで月1回、盛大なダンスパーティーを開いていた。ホールには螺旋階段があり、着飾った男女の中、蝶ネクタイ・タキシードの宇能さんが下りてくる姿は圧巻だった。社交ダンスだけでなく、オペラも趣味で、近くの逗子のレストランにご一緒したときは、食事を終えると、海に向かって、朗々とアリアを歌われた。「よく歌うのですか?」と尋ねると、「酔っぱらうと怒鳴る。覚めると歌う」と笑った。

 22年4月22日付の日刊ゲンダイ「注目の人直撃インタビュー」では、元気が足りない世の中について〈皆、もっと正直になればいいと思います〉〈ズバッとセックスや飢え、暴力に目を向けたらいいと思いますね〉と言い、自らの元気の秘訣については〈「女、酒、歌」ですね〉とズバリ。

 そして「戦争に正義などない」とこう訴えた。

「(ベトナム戦争のころ)大江健三郎さんから、反米団体の「ベトナムに平和を!市民連合」への参加要請を受けましたが、断りました。共産党嫌いということもあるかもしれませんが、とにかく私は『正義感』というものを信用していないのです」

 ――戦争になればどちらも正義を主張しますが、どちらにも正義などない?

「ないでしょうね。そこにあるものとして信用できるのは、飢えとセックスですね。あとは、ある意味、暴力も人間の業といえるでしょう」

 ――正義感は、ある日突然変わったりする?

「そうです。終戦後、コロッと態度が変わった教師の姿を見ていますから」

 ちょうど、ロシアのウクライナ侵攻のあとで、世間はロシアに非があり、ウクライナには正義があると論じていたが、宇能さんは信用していなかった。

「世の中、忖度とキレイゴトにまみれている」というのも印象的な言葉だった。

(文=寺田俊治/日刊ゲンダイ)

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