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《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月13日 11時42分

《柳田悠岐 #2》人並み以上のスピードとパワーを兼ね揃えていたがゆえの落とし穴【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

5月31日の広島戦で右足を負傷(C)共同通信社

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#4

 柳田悠岐(2)

  ◇  ◇  ◇

 現在、チームを指揮している小久保監督が現役を引退したのは2012年。プロ2年目の柳田はその年、68試合で5本塁打、18打点と一軍定着の足がかりをつくりました。

 現役時代の小久保は若手にハッパをかけるため、「おまえら今季の目標は? それ達成できたら、何か買ったるわ」と、ポケットマネーでニンジンをぶら下げていた。柳田も自分で設定した目標を達成し、時計をもらっていました。

 ところが翌13年は成績が上がらない時期があり、「小久保さんが時計を取り返しに来るかもしれん」と笑いながら話していたのを思い出します。それでも最終的に打率.295、11本塁打、41打点と活躍。外野のレギュラーとして一本立ちをしたのも、小久保に受けた恩と、「自分がやらなければ」という責任感が芽生えたからでしょう。

 ただ、ケガが多い選手でもある。今季も5月末に右太もも裏の肉離れで、全治4カ月と診断されました。

 これはひとえにスピードがあるからだと僕は思っています。若い時はまだしも、年をとると本人が持つスピードや瞬発力に、筋肉がついていけなくなる。現在、筑後のファーム施設で寮長を務めている山口裕二さんも現役時代は俊足の外野手として活躍しましたが、やはりケガが多かった。具体的な件数はわかりませんが、現役時代に肉離れをやった回数はいまだに球界トップなんだとか。

 柳田はさらにパワーも一流です。僕がこれまで見てきた選手は、ベテランになったらスピードよりもパワーを優先するケースが多かった。例えば多村仁志もホークス時代、「僕も年とってきたんで、パワーを重視しますよ」と話していた。球界を見渡しても、大杉勝男さん、門田博光さん、田淵幸一さん、最近では山崎武司や中村剛也ら、年をとっても活躍した野手はホームランバッターが多い。イチローみたいなのはむしろ例外。その意味では今のソフトバンクでは周東が将来どうなるか、気になっています。

 話を柳田に戻しますが、ここ数年は長期離脱することが多い。実は若手の頃はちょっとやそっとのケガなら、休まずにプレーしていたんです。それが現在は「まずは完治を目指す」という方針に切り替わった。

 これは年齢も影響していますが、柳田が社会人野球で、現在のケガと同じ箇所を痛めた選手を知っているからです。この選手は状態を上げようと無理をした結果、ほぼ半年、まともにプレーすることができなかった。柳田も以前、「可能なら無理はしますけど、なるべく無理はしないようにやっていかなきゃダメですね」と話していました。

 それでもポストシーズンには間に合いそうです。ナインも「柳田さんが気持ちよく帰ってこられるように」と一致団結しているはず。それが小久保引退後に柳田が培ってきた人望です。次回はベテランと言えばこの人、左腕の和田毅の項になります。(次回は《和田毅#1》)

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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