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長寿研究のいまを知る(1)なぜ、人は老いて死ぬのか

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月12日 9時26分

長寿研究のいまを知る(1)なぜ、人は老いて死ぬのか

平均寿命は大幅に延びているが、最大寿命はそれほど延びていない(C)日刊ゲンダイ

 100歳を越えて元気で長生きできる時代が現実になりつつある。2023年時点の100歳以上の日本人は9万2139人(88.6%が女性)。戦争の影響があったとはいえ、1970年の310人から297倍と急増している。

 一方、2023年の日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性は87.14歳である。江戸時代末期(1810~21年)の陸奥国(いまの岩手県)狐禅寺村の古文書から割り出された当時の平均寿命は男性40.7歳、女性は36.8歳。つまり約200年間で男性は40.39歳、女性は50.34歳延びたことになる。

 では、最大寿命はどうか? 人類史上最も長生きしたとされているのは、1997年に老衰のため122歳164日で亡くなったとされるフランス人女性ジャンヌ・カルマンさんで、日本人では2022年に119歳107日で亡くなった田中カ子(たなか・かね)さんだといわれている。ちなみに200年前の狐禅寺村の最大寿命は96歳の女性とみられている。こちらは200年間に23年延びたことになる。

 平均寿命とは、0歳における平均余命を示すが、日本の平均寿命が延びたのは、乳幼児期の死亡率が大幅に下がったからだ。実際、かつては「7歳までは神のうち」と言われるほど、低年齢層では食中毒などの感染症で亡くなる子供も多かった。とくに生後1年未満の死亡率は非常に高く、それが一昔前の平均寿命を大きく引き下げる原因だったが、2022年では1000人あたり1.8人と低く抑えられている。

 ほかにも生活環境の改善、公衆衛生の改善、肉などの良質なタンパク質の積極的摂取による栄養改善、幼児・小児医療の進歩、冷蔵庫など家庭電化製品の普及などが寄与している。

 とはいえ、人類の平均寿命は大幅に延びているものの、最大寿命はそれほど延びていない。事実、100歳以上は増えているものの、110歳以上の人は極端に少なくなり、115歳の人はほとんどいないことがわかっている。

 現在では、急速な医学の進歩によって、寿命に影響し得るさまざまな要因がより明確になると同時に、そのメカニズムが遺伝子レベルでも解明されつつある。

 つまり現代は、人類の寿命に対する考え方の大きな転換期にあるとも言える。今後、加速する長寿研究によって、最大寿命が150歳から180歳、平均寿命120歳という時代へと変遷していく可能性もある。少なくとも世界中の長寿研究者の多くは、期待も込めてそう考えている。そこで、長寿研究の現状についてハーバード大学医学部&ソルボンヌ大学医学部客員教授の根来秀行医師に聞いた。

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