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長寿研究のいまを知る(1)なぜ、人は老いて死ぬのか

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月12日 9時26分

「老化の定義は立場によりさまざまですが、一般的には『成熟期以降に起こる生理機能の衰退』を意味し、遺伝的な要因や外界からのストレスに対し、適応力が低下することで起きる変化と考えられています。なお、医学的には加齢と老化は別物で、前者は生まれてからの時間を言い、老化は加齢に伴う生理機能の衰退や適応力の低下を指します」

■個は種の存続や繁栄のために死ぬわけではない

 そもそも、人はなぜ老いて死ぬのか? 大昔から不老不死は人類の夢であり、さまざまな研究が行われてきたが、その原点となる疑問だ。

「長い間、生物の個は種の繁栄・存続のために行動すると考えられていました。人間も、増えすぎて人間そのものが滅亡しないために、老化による死はあらかじめプログラミングされたものだと信じられてきたのです。その一例とされてきたのがタビネズミの集団自決です。これは増えすぎた種の絶滅を防ぐための行動だとされてきました。ですから、生殖により自分の遺伝子を次世代に受け継がせれば、その役割を終えて亡くなる、というのが当然という考え方です」

 実際、ほとんどの種は生殖活動を終えると死んでしまう。生殖後も長生きする人類は非常に珍しい種であり、孫世代を保護・養育することで種の継続のために働いているとされている。しかし、その後、ダーウィンの進化論を下敷きにした新たな考え方が登場する。

「人間を含めた生物は遺伝子を次世代に残すための乗り物に過ぎず、遺伝子は生き残るためにはどんな手段でも取る利己的な存在である。種の継続のために個を犠牲にすることなどない」という考え方だ。むろん、ここでいう「利己的な遺伝子」とは実在するものでなく、遺伝子の特性を比喩した表現である。

 同名の本は、俳優の真田広之が生物教師を演じたTBS系ドラマ「高校教師」の中で“小道具”として登場したため、記憶にある人もいるはずだ。

「結局、利己的な遺伝子は、子孫をたくさん残すことで自分の遺伝子をより多く拡散する一方で、乗り物である生物の長寿も望んでいる。ではなぜ、遺伝子の志半ばで死んでしまうのか? それは生殖と長寿を維持できるだけのエネルギーの不足によるからではないか、との考え方もあるのです」

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