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《中村晃の巻》プロ2年目を終えた未来の打撃職人に「ホームランを打て」とあえて注文を出したワケ【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月20日 9時26分

《中村晃の巻》プロ2年目を終えた未来の打撃職人に「ホームランを打て」とあえて注文を出したワケ【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

中村晃(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#8

 中村晃(1/1)

  ◇  ◇  ◇

 中村晃(34)といえば、ホークスの誇る打撃職人。練習でも一度打ち出したら納得いくまでバットを振り続ける、まるで刀鍛冶師のような男です。

 その才能は、帝京高から2007年の高校生ドラフト3巡目で入団した新人時代から先輩選手も認めるほど。ルーキーイヤーの08年、社会人チームと練習試合をした時です。

 この試合で中村は相手投手の投げたフォークボールを余裕をもって見送った。決して悪いボールだったわけではない。経験豊富な社会人投手が投げた、真ん中から低めに落ちるナイスボール。

 それを去年まで高校生だった選手が見極めたのだから驚きです。

 ホークスのベンチからは「そんなフォーク振るわけないやろ! こいつは天才やぞ!」とヤジまで飛びました(笑)。

 でも、素質だけの選手ではありません。二軍では1学年上の福田秀平と一緒に誰よりも早くグラウンドに姿を現すと、ライン引きなどの雑用をこなしてから、2人で黙々とティー打撃。野球に対する意識は非常に高い選手でした。

 当時の五十嵐章人二軍打撃守備コーチとはこんな会話もありました。

「田尻さん、新人の晃ですが、僕に外野守備をイチから教えて下さいって来ましたよ」

「え? アイツの売りって高校通算60本塁打の打撃ちゃうの?」

「違うんですよ。最初に僕にかけてきた言葉が『守備を教えて下さい』だったんです」

 五十嵐コーチは「こんなの初めてですよ」と、うれしそうに話していました。

 そんな中村に僕はひとつ、注文を出したことがある。2年目に二軍で打率3割を打った年の納会でのことです。中村は「初めて3割打ちました!」と報告してきたので、僕はこう言いました。

「ひとつ注文していいか? ホームラン打て。今年何本? 0本? おまえが守る一塁や外野はパワーヒッターのポジションや。ヒットを打つ技術があるのは知ってる。でも、ホームランを打てないって相手に思われると、外野はどんどん前に出てくるよ。そうするとヒットも減るよ。大きいのが打てるイメージを少しでもつけないと、将来的に苦しくなるよ」

 これは決して中村にホームランバッターになってほしくて言ったわけではありません。一軍では18年の14本が最多ですが、多少なりとも相手に「長打もあるぞ」と思わせるのも大事なんです。

 そんな中村と「こいつら2人で何時間打つんや……」と僕らを驚かせたのが現在、動作解析などを担当するR&Dスタッフの長谷川勇也です。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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