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《今宮健太の巻》「1発かました」僕の目を臆さず睨み返した生意気根性に「大物になるかも」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月20日 13時30分

《今宮健太の巻》「1発かました」僕の目を臆さず睨み返した生意気根性に「大物になるかも」【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

今宮健太(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#7

 今宮健太(1/1)

  ◇  ◇  ◇

 ホークスの遊撃手として、長年活躍する今宮健太(33)。元投手ならではの強肩と守備範囲の広さに定評があります。

 初めて見たのは入団1年目の2010年の新人合同自主トレ。明豊高時代は投手として活躍しましたが、ホークスでは最初から遊撃のレギュラー候補として期待されていました。

 しかし、僕の最初の印象は「うまいけど雑」。グラブさばきは柔らかいけど、送球した先を見ない。投げてすぐに後ろを向くなど、投げたら投げっぱなしだったんです。

 僕はホークスでコーチを務めた森脇浩司さんから「ひとつのプレーは審判がアウトかセーフかをコールして初めて完結する。野手も責任を持って捕球まで見届ける必要がある」という話を聞いていたので、なおさら目についたのかもしれません。

 ただ、当時は現役時代に遊撃で活躍した鳥越裕介が二軍監督。今宮の悪癖はすぐに直されるだろうと思い、心配はしていませんでした。

 こんな話もあります。今宮を含め、ドラフトで指名された高校生3人がその年の秋季キャンプを見学に訪れた時の話です。僕は球団フロントの簑原孝宏さんに言われ、彼らを案内。それまでは“お客さん扱い”をしていましたが、最後に僕は素に近い口調で彼らにこう言いました。

「おまえらに宿題出すわ。人の顔を見て挨拶すること。下向いてばかりじゃ話にならんぞ。先輩に『おはよう』と言われる前に、自分から挨拶。おまえらも高校で言われてたやろ」

 僕にこう言われると、大抵の高校生はびびってしまうもの。でも、他の2人がうつむく中、今宮だけはじっと僕の目を見ていた。案内が終わり、「どうだった?」と聞く簑原さんに僕はこう言いました。

「簑原さん、いつも『一発かましたれ』って言ってるじゃないですか。でも、今宮は僕のことを『このオヤジ、何言ってんだ』くらいの目で見てましたよ。大物になるかもしれませんね」

 入団する前から、それだけ気持ちの強い性格だったんです。

 ある年のシーズン終盤にふくらはぎを負傷した時も、何とかCSに間に合わせようと奮闘。僕が「気持ちはわかるけど、無理をしたらさらにケガするぞ」と心配すると、今宮は平然とこう答えました。

「僕の立場は安泰じゃないんで。今はレギュラーでバリバリやっていても、その座を誰かに取られるかもしれませんから」

 これには思わず僕も「健太、おまえは俺らの時代の選手みたいやな」と驚いたくらいです。

 素質も凄いが、それ以上に努力と根性の男。ホークスの打撃職人、中村晃にもそんな一面がありました。(つづく)
(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

  ◇  ◇  ◇

 次の話、中村晃については、関連記事【次話を読む】…から要チェックだ。

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