嶋大輔さん「還暦は真っ赤な特攻服で歌った。70歳になったらまた特攻服にリーゼントで歌いたい」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 9時26分
今までもこれからもそうですが、「男の勲章」は恩人ならぬ「恩曲」です。あの曲がなければ今の僕はないですし、これだけ歌い継がれてる楽曲を歌っていけるのは、ものすごく幸せだなって思っています。
「男の勲章」を歌わなかった時期
28歳から35歳くらいの一時期、嶋大輔の「男の勲章」ではなく、「男の勲章」の嶋大輔になっていると思い始めて、「男の勲章」を一切歌わないって決めたことがあるんです。ある先輩に「おまえ最近なんで歌わないの」と聞かれ、「リーゼントにしてくれって言われるし、もう嫌なんです」と言ったらすごく怒られた。「ずっと語り継がれ、流れ続けている曲を持っている人って他に誰がいるんだよ。求められる楽曲があったり、過去があるタレントはすごいんだぞ」って言われ、ハッと気がつきました。いつまでも特攻服着てリーゼントにしてくれって言われることは、それだけ求められていることなんだと考え直しました。
だから、還暦のライブでは真っ赤な特攻服を着て歌った。70歳になったらまた特攻服を着てリーゼントで歌うのが目標です。
このあと10年、15年、自分は何ができるんだろうって考えます。この年になって夢が大き過ぎても掴めなくなっちゃうんで、半年から1年単位でコツコツと夢を掴んでいって、最終的にデカい夢にたどり着けばいいかなと思っています。
ひとつは映画です。映画を作りたいと思って、原案を少しずつ書いています。それからまたヒット曲を出して、みなさんに届けられたらいいなと思います。
8月に発売したミニアルバム「Memories and beginnings~時を越えて~」は還暦を記念し、オリジナルとして約20年ぶりにリリースした作品。1曲目の「Dear Friends~いつか桜の丘で~」という曲はデビュー当時の桜丘、桜舞い散るあの丘で嶋大輔というアーティストが生まれて、リーゼントでぜぇぜぇ言いながらマラソンしたり、厳しいレッスンを続けたから今がある。もう一度昔の仲間と何かできたらいいな、いつかまた一緒に頑張ろうぜっていう曲なんです。
実をいうと銀蝿さんの事務所を出た後、ずっと後ろ髪を引かれる思いがありました。でも、21年12月に行われた「銀蝿一家祭~令和・冬の陣~」のライブでみんなに再会して、30年以上会ってないのに、みんな当時のまま、お互い老けてはいるけど、何も変わっていなかった。ファンにとってもずっと銀蝿一家だった。
嵐さんにも挨拶しました。脳梗塞の重い病気を経験したのに元気に「脳みそなくたって生きられるんだよ」と楽屋でドラムのスネアを片手で叩いてるんですよ。すごいなと思いましたね。別れ際には「頑張れよ」じゃなくて「楽しめよ」って言ってくれた。それがすごくうれしかった。不義理して事務所を出ていった僕のことを気遣ってくれたんだと思います。
でも、それが嵐さんとの最後の会話でした。あの再会がなかったら、わだかまりが残ったまま嵐さんが亡くなってしまって、僕はすごく後悔したかもしれない。銀蝿一家で生まれ、育った人間として、あのライブがあってよかったと心から思います。横浜銀蝿っていう空母があって、そこからみんな旅立って、また空母に戻ってくるということです。
9月23日にまた「銀蝿一家祭 昭和九十九年~秋の陣」があります。ステージから「帰還しました!」と叫ぼうと思ってます。
(聞き手=浦上優)
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