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岡田将生が醸し出す「一歩引いた存在感」の神髄 「虎に翼」「ラストマイル」でも魅力随所に(金澤誠/映画ライター)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 14時3分

岡田将生が醸し出す「一歩引いた存在感」の神髄 「虎に翼」「ラストマイル」でも魅力随所に(金澤誠/映画ライター)

岡田将生(C)日刊ゲンダイ

 満島ひかりと共演した映画「ラストマイル」が興収20億円を超え、間もなく最終回を迎える朝ドラ「虎に翼」のヒロインの再婚相手役も好評。10月17日からは、中井貴一とダブル主演の「ザ・トラベルナース」の2年ぶりとなる新シーズンが始まるなど、注目の度合いが高まっている岡田将生。“今年はいっぱい仕事をする年”と自分で決めたそうだが、いい結果を残しているのは、彼自身の個性が生かされているからだ。

 岡田将生は2006年にCMでデビューして、翌年の映画「天然コケッコー」で早くも注目された。09年には「重力ピエロ」「僕の初恋をキミに捧ぐ」「ホノカアボーイ」などの演技で各映画賞の新人賞を総なめ。10年の「悪人」では下劣な大学生に扮して悪役としても新境地を見せ、テレビの「ゆとりですがなにか」(16年)をはじめとするコメディーもこなすなど、着実に演技の幅を広げてきている。

 その彼の最大の特徴“場に馴染まない”ことだろう。「虎に翼」でも“はて?”と疑問を投げかけながら我が道を突き進む伊藤沙莉演じるヒロイン・寅子に対し、“なるほど”が口癖の岡田扮する星航一は、どんな時でも物事を客観的に見つめる男で、その姿勢は妻や子供に対しても変わらない。家族の中で問題が起こったとしても、航一は家族の一員でありながら、どこか当事者のすぐそばにいる“観察者”のような存在である。その余計なことを言わず寄り添っていてくれる感じがまた、寅子にとっては心地よいという不思議な魅力を持ったキャラクターである。

「ラストマイル」では、ショッピングサイトから配送された段ボールが爆発する事件の真相を探る、満島ひかり演じる巨大物流倉庫のセンター長を手助けするチームマネジャーを演じているが、ここでも彼は自分の判断で段ボール爆弾とその犯人を特定しようとする満島のサポート役に徹していて、準主役でありながら立ち位置は常に客観的。作品の世界観や物語の中心にいても、どこか“場に馴染まない”感じは、東京から島根県の田舎町に転校してきた中学生を演じた「天然コケッコー」の頃から岡田将生に備わっていたもので、それが彼の他にはない魅力になっているのだ。

■同世代の役者にはいない、唯一の存在

 それだけに彼には単独主演のイメージが薄い。「虎に翼」にしても、「ラストマイル」にしても、作品を引っ張っていくのは伊藤沙莉であり満島ひかりである。ただ、物語の本道から少しずれた岡田の視点があるからこそ、作品は膨らみを増すことになる。これは例えば主演俳優でも『キングダム』や『ゴールデンカムイ』の山崎賢人のように、危機的な状況を自らの行動と熱意で乗り越える役を演じて、作品の先頭を走っていくタイプとはまったく違ったアプローチ。先頭を走る主演から一歩引いたところにいる岡田将生は、客観性を失わないことで映画の観客やテレビの視聴者と、作品世界との橋渡しをする。こういう俳優は、佐藤健、松坂桃李、賀来賢人、若葉竜也ら、彼と同年代の顔ぶれを見ても、他にいない。

 そのありさまは、作り手が表現したことで完結するのではなく、作られたものをSNSなどで受け止める見る側のもうひとつの視点で作品全体のイメージが決まっていく今の時代にどこか寄り添ったもので、彼が醸し出す“場に馴染まない”雰囲気と、時代の空気とのピントがうまく合ってきた感じがある。それだけに現在35歳で脂が乗りきった岡田将生の快進撃は、まだまだ続きそうだ。

(映画ライター・金澤誠)

  ◇  ◇  ◇

 八面六臂の活躍を見せる岡田将生。●関連記事【もっと読む】岡田将生「ふてほど」で見せた予測できない演技の幅…次の朝ドラは「狂気の青年」か「残念なイケメン」か…では、話題作となった「不適切にも程がある」での岡田の活躍について伝えている。

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