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スパリゾートハワイアンズを米ファンドが買収…フォートレスのTOBはまさに「売り時」だった(小林佳樹)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 9時26分

スパリゾートハワイアンズを米ファンドが買収…フォートレスのTOBはまさに「売り時」だった(小林佳樹)

映画「フラガール」が一大ブームを巻き起こした(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 映画「フラガール」の舞台となった福島県いわき市の総合レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」が、米投資ファンド「フォートレス・インベストメント・グループ」に買収される。

 ハワイアンズの運営会社「常磐興産」に対してフォートレスは9月10日から2度に分けて株式公開買い付け(TOB)を実施し、傘下に収める。買い付け価格は1回目が6日の終値に約33%のプレミアムを乗せた1650円、2回目は6日の終値と同じ1240円。TOB成立後、常磐興産は上場廃止となる。

 常磐興産のルーツは渋沢栄一が1884年に設立した「磐城炭鉱」で、日本の近代化や戦後の復興を支えた。しかし、昭和30年代以降、石炭産業が衰退する中、温泉リゾートに活路を見いだした。その地域の苦心の顛末は映画「フラガール」として上映され、一大ブームを巻き起こした。

 知られていないことだが、その映画を企画し、資金を拠出したのは1998年に経営破綻した日本長期信用銀行OBの土井宏文氏だ。土井氏は自身が設立した信託会社「ジャパン・デジタル・コンテンツ」を介して資金を集めてフラガール製作にこぎ着けた。映画という知的財産を信託化する画期的な事業だった。しかし、その後、「ジャパン・デジタル・コンテンツ」も行政処分を受け、事業継続を断念した。

■東日本大震災の復興の象徴

「スパリゾートハワイアンズ」は東日本大震災の復興の象徴でもあった。震災直後には臨時休業を余儀なくされたが、フラガールが全国を公演して回り、復興をアピールした。また経営面では、メインバンクのみずほ銀行から経営陣が派遣され、資金面を含め全面サポートした。

「東日本大震災で建物損壊など甚大な被害を受け、入場者が震災前の年140万人から、37万人へ激減したが、全面再開以降、2013年度は150万人と震災前よりも増えるなど復活を果たした」(みずほ関係者)という。

■300億円の有利子負債も集客は回復

 しかし、新型コロナ禍の影響は大きく、また、1960年代に開業した施設の老朽化が進み、資金繰りに窮した。2024年3月期末の有利子負債は約299億円を抱える。ただ、経済活動の正常化もあり、24年3月期は日帰り客が前期に比べ24%増の93万人、宿泊客も21%増の37万7000人と好調で、今夏の利用者数も想定を上回り、9月9日には25年3月期の連結業績予想を上方修正したばかり。「まさに売り時だった」(みずほ関係者)と言える。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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