“やせ薬”としても使われる糖尿病治療薬はがん予防にも効果あり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 9時26分
写真はイメージ
「肥満治療薬」として承認されたことで、欲しがる人が増え、品薄が問題となった「GLP-1受容体作動薬」。GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病治療薬として開発された薬だ。
このGLP-1受容体作動薬には、糖尿病や肥満に効果を発揮するだけでなく、さまざまな効果があることが分かってきた。
米フロリダ州の脳神経外科医ブレット・オズボーン博士は、8月22日、FOXニュースに「GLP-1受容体作動薬は現代の“聖杯”であり、抗生物質発見と同じようなインパクトを世界の健康に与えることが証明されるでしょう」とコメントしている。
米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部の研究者らが、2024年8月号の「JAMA Network Open誌」に発表した研究成果は衝撃的だ。
研究結果は、全米1億1300万人の患者のカルテから得られたもの。そのうち170万人が2型糖尿病の治療にGLP-1受容体作動薬を使用していた。研究者らは、比較対象として、インスリン治療を受けた患者も調べたという。いずれの患者にも「肥満関連がん」の病歴はなかった。その結果、15年間にわたり、GLP-1受容体作動薬は、13種の肥満関連がんのうち10種類のリスクを大幅に軽減したという。インスリン治療を受けた患者と比較して、胆嚢がん、髄膜腫、膵臓がんは、それぞれ65%、63%、59%発症する可能性が低くなった。卵巣がんのリスクは48%低下し、肝細胞がんのリスクは53%低下したという。
大腸がん、多発性骨髄腫、食道がん、子宮内膜がん、あるいは、子宮体がん、腎臓がんも、GLP-1受容体作動薬を利用している患者は発症する可能性が大幅に低くなった。
■心臓病や認知症のリスクも抑制
驚きなのが、肥満関連がんだけでなく、心臓発作のリスク軽減、喫煙やアルコール依存症などの中毒行動の抑制、関節リウマチの再発軽減、パーキンソン病、アルツハイマー病、変形性関節症、非アルコール性脂肪肝疾患などへの効果もあったことだ。
GLP-1は、もともと人間の体にあるホルモンで、血糖値を下げる働きがある。GLP-1受容体作動薬は、体の外からGLP-1を補う薬だ。食事をして、消化管のなかに食べ物が入ってくると、小腸からGLP-1が分泌され、血液によって膵臓に運ばれる。膵臓にたどりついたGLP-1が、インスリンの分泌を促すという仕組みである。インスリン療法は、インスリンを体外から補う治療法だが、GLP-1受容体作動薬は、自分の膵臓からインスリンを分泌させる治療法ということだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
昭和大学の研究チームが、インクレチンGIPの抗動脈硬化作用を実証
Digital PR Platform / 2024年9月25日 14時5分
-
【芝浦工業大学】ポリフェノールの苦味刺激が肥満や糖尿病を予防することを発見
Digital PR Platform / 2024年9月24日 14時5分
-
インクレチン関連薬がグルカゴン応答性インスリン分泌を低下させることをリアルワールドデータで発見
共同通信PRワイヤー / 2024年9月6日 16時30分
-
ボストン・ウェルネス通信 その12 GLP-1受容体作動薬、長期的な成功の鍵
Japan In-depth / 2024年9月3日 14時30分
-
世界初の週1回持続型インスリン注射は糖尿病患者にどんな変化をもたらす?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月29日 9時26分
ランキング
-
1使用済みのペットボトルを「水筒代わり」に使用している母。不衛生な気がするのですが節約になるのでしょうか?
ファイナンシャルフィールド / 2024年9月26日 6時0分
-
2ラブホ従業員が驚いた客の行動「高齢者の団体が“12時間”のフリータイムを利用して…」
日刊SPA! / 2024年9月26日 15時52分
-
3ギャル曽根の「さつまいもの食べ方」が至福すぎる “調味料2つだけ”これは覚えたい
Sirabee / 2024年9月24日 4時30分
-
4「うわっ!」と思わず声が…山間部に突如現れる珍名所「アダルト保育園」。中には「だんみつの部屋」も
日刊SPA! / 2024年9月26日 15時51分
-
5“断るのが苦手な人”ほど、人を傷つけているワケ。覚えておきたい「誰も傷つけない断り方」
女子SPA! / 2024年9月26日 15時47分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください