子供の感染症予防…カギを握るのは父親の学歴? 研究論文が日本疫学会誌に掲載
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月22日 9時26分
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【役に立つオモシロ医学論文】
子供の健やかな成長には、栄養バランスの優れた食事や適切な運動、十分な睡眠、安全な生活環境、そして予防医療(健康診断やワクチン接種など)の活用が欠かせません。とりわけ感染症の予防においては、ワクチンの接種が最も効果的です。
ただし、このような子供の生活環境は、主に親の意識と行動によって形作られます。
一般に、教育水準の高い人ほど健康的である傾向が知られており、親の学歴もまた、子供の健康状態に影響する可能性があります。
そのような中、親の教育水準と子供の感染症の関連性を検討した研究論文が、日本疫学会誌の電子版に2024年9月7日付で掲載されました。
日本で行われたこの研究では、3歳までの子供8万930人と、その親が分析対象になりました。親の学歴は、中学校卒業、高校卒業、短期大学/専門学校卒業、大学卒業以上の4つのカテゴリーに分類され、子供が2~3歳の時点で発症した、ワクチンの接種で予防可能な感染症(水痘、おたふく風邪、インフルエンザ、麻疹、風疹、百日ぜき)との関連性を解析しています。
その結果、ワクチン接種が任意である水痘、おたふく風邪、インフルエンザについては、父親の学歴が高いほど、感染症の発生率が低いという関係性を認めました。一方、母親の学歴と子供の感染症の関連は限定的でした。
また、市町村が主体となって実施する定期接種の対象ワクチンである百日ぜき、麻疹、風疹については、親の学歴と子供の感染症の間に、統計学的に意味のある関連性を認めませんでした。
論文著者らは「ワクチンの利点を、あらゆる教育水準の親が理解できるように伝えることで、子供たちの感染症を減らすことができる」と結論しています。
(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)
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