認知症で問題行動を起こす患者にはどんな対応をするのか【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月25日 9時26分
そして、職員全員が穏やかに「ようこそ、一緒に回復しましょう」という気持ちで関わりました。ここで覚えておくべき点は、関わる時に患者さんが嫌だと感じる行為や表情をすると、患者さんはその職員を覚えてしまい、看護ケアの介入を拒否するようになるということです。
入院日の夜は、前医が処方した薬をそのまま使って一晩評価することにしましたが、夜勤の看護師たちは大変な状況になりました。患者さんが前の病院とまったく同じ状態だったからです。
環境調整と関わり方だけでは対応が困難でした。そのため、入院翌日には、夕方の不穏が生じないように向精神薬を十分量使い、さらに、夜は眠れるように睡眠薬治療も追加しました。これにより、夜間興奮と混乱はほぼなく、睡眠もでき、翌日の覚醒はよく、日中の傾眠も認めませんでした。「よし、これでリハビリに専念できるぞ」と手応えを感じました。
しかし、次の深夜帯、睡眠中にそのまま脱衣をして、尿便の汚染行為が起こりました。当院は体の抑制は行いませんから、その後も健側(障害がない側)の左上肢で脱衣を続けることになりました。そこで、ご家族に病態を説明し、納得していただいたうえで、上着と下着が一体となったロンパース(つなぎ服)の着用を開始しました。これにより、夜間の汚染行為も改善しました。これが環境調整になります。
現在、患者さんに看護ケアやリハビリに対する拒否はなく、問題行動もありません。穏やかに職員と接し、看護ケアを受け入れ、重度麻痺にもかかわらず、積極的な長下肢装具によるリハビリも行うようになりました。
感情障害や精神障害を治療するためには、内服治療による“医療力”が極めて重要です。患者さんに穏やかになっていただく結果を出さなくてはならないのです。
(酒向正春/ねりま健育会病院院長)
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