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《甲斐拓也の巻》「人は人、自分は自分」の言葉を胸に刻んで這い上がった苦労人【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月28日 9時26分

《甲斐拓也の巻》「人は人、自分は自分」の言葉を胸に刻んで這い上がった苦労人【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

甲斐拓也(C)日刊ゲンダイ

甲斐拓也

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#12

 甲斐拓也

  ◇  ◇  ◇

 ソフトバンクのキャンプは一軍に相当するA組と二軍相当のB組に分かれており、同じ敷地内で行っています。ある年のキャンプ中、たまたまB組のグラウンドに目を向けると、捕手が練習をしていた。

 その中のひとりの動作に目を奪われました。捕球してから投げるまでの動作がとんでもなく速い。でも、ボールを芯で捕れないのでうまく握ることができず、いい送球が行かない。二軍スタッフに「ええやん。これでちゃんとボール握れるようになったら凄くね? あいつ名前何?」と聞くと、それがまだ一軍デビュー前の甲斐拓也(31)だったんです。

 僕は当時一軍広報だったので、育成選手だった甲斐とはほとんど接したことがなかった。光るものはありましたが、まさか球界を代表する捕手になるとは、当時の僕に言っても信じたかどうか。

 甲斐を捕手として大きく育てたのが2017、18年にヘッドコーチを務めた達川光男さんであることはよく知られています。僕はもうひとり、そこにホークスで一軍二軍問わずコーチを歴任した、捕手出身の森浩之さんも挙げたい。甲斐は以前、一番心に残っている言葉は何かと聞かれた時、「森さんに言われた『人は人、自分は自分』です」と話していました。甲斐は10年育成ドラフト6位。同じ年のドラ1は山下斐紹でした。2人とも捕手で、片やドラ1、片や育成選手。どうしても甲斐が山下と自分を比べてしまうのは無理もありません。そんな時、森さんが「他人と比較せず、自分を高めなさい」という意味でかけた言葉でした。

 そんな甲斐のこぼれ話をひとつ。

 育成時代から、オフシーズンは同じ大分県出身の内川聖一と自主トレをしていました。僕が自主トレ公開日のメディア対応のために大分入りすると、決まって甲斐がいない。内川が「田尻さん、拓也いなくなりました」と言うので「どういうこと?」と聞き返すと、「熱出したんで、帰らせました」。ある時はインフルエンザで離脱。こんなことが、本当に毎回だったんです。

 僕としては育成選手でも取材慣れしてもらうため、必ず報道陣の囲み取材などはさせていました。それすらできないので、もう目も当てられない(笑)。記者に「あれ? 甲斐は?」と聞かれても、「ああ、うん、どこか体調悪いらしいよ」と言葉を濁すのが精いっぱいでした(笑)。

 そんな甲斐と同じく育成から主力に這い上がったのが、球界きってのスピードスター、周東佑京です。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

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