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大阪国際がんセンターでミス発覚…診断や治療に疑念あればカルテ開示を(中川恵一/がんサバイバーの知恵)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月28日 9時26分

大阪国際がんセンターでミス発覚…診断や治療に疑念あればカルテ開示を(中川恵一/がんサバイバーの知恵)

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【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 大阪国際がんセンターで重大なミスが明らかになり、問題視されています。昨年5月に頭頚部外科を受診した50代の女性患者に咽頭がんと食道がんが見つかり、6~8月にまず咽頭がんを治療。その後、食道がんの治療をするため、消化管内科に引き継ぐ必要がありましたが、頭頚部外科の担当医が消化管内科への連絡を忘れていたというのです。

 今年1月、調査研究でカルテを調べた際、この患者の食道がんが未治療であることが判明。3月に手術を行ったといいます。当初、早期だった食道がんは昨年9月に手術するはずでしたが、半年の治療の遅れでかなり進行していたそうです。

 あってはならないミスですが、類似のミスは時々起きています。今年4月には名古屋大病院で担当医がCT検査の報告書を見落とし、肺がんの診断が3年も遅れたことを発表。この患者は見落としから6年後に亡くなっています。名大病院は16年以降、同様のミスによる死亡例を6件公表しました。ほかにも慈恵医大病院や千葉大病院などでも同じようなミスが報じられています。

 明らかに病院側のミスですが、患者側に防ぐ手だてがないわけではありません。がんで診察や検査を受けたら、診断書や画像データ、治療方針をまとめたリポートなどをもらっておくこと。日本では、そうした情報の提供を拒否する医師も一部にいるようですが、医療情報は患者自身のものですから、患者が画像データなどを求めるのは当然です。

 欧米では、検査結果はもちろん、患者が自分のカルテや検査結果を閲覧することもできます。

 たとえばフランスでは、スマホのアプリで自分のカルテは閲覧自由です。あるとき、パリに住む日本人から医療相談を受けた際、カルテや画像データがまとめてメールで送られてきて驚いたことがあります。

 欧米に比べると、日本はかなり遅れていますが、患者が病院と医療情報を共有すれば、医療の透明性がより高まります。医療ミスも未然に防ぐことができ、ひいては患者のヘルスリテラシーも高まるでしょう。

 実は、患者の請求に応じてカルテを開示することは、個人情報保護法で病院の義務となっています。その理由を示す必要もありません。厚労省も「診療情報の提供等に関する指針」の中で「(カルテ開示の)申立ての理由の記載を要求すること、申立ての理由を尋ねることは不適切である」としているのです。

 診断や治療などに疑問や疑念があれば、カルテの開示をもっと積極的に求めるべきでしょう。もちろん、カルテのコピーも可能です。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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