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非正規雇用が30年で20.3%→37.1%に…増加は1995年の財界リポート「新時代の日本的経営」がきっかけ【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#9

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月1日 9時26分

非正規雇用が30年で20.3%→37.1%に…増加は1995年の財界リポート「新時代の日本的経営」がきっかけ【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#9

自民は「自社さ連立」で政権復帰(C)日刊ゲンダイ

【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#9

 非正規への追い込み30年(1)

  ◇  ◇  ◇

 30年前の1994年、日本の非正規雇用の割合は20.3%だった。それが2023年には37.1%に。非正規雇用で働く人は不安定な上に賃金が低迷し、将来への不安は募るばかりだ。

 政権を長らく運営してきた自民党が、企業献金を受けて財界の要望に応えてきた。

 非正規雇用増加のきっかけとなったのは、日本経営者団体連盟(02年経団連に統合)が、95年に出したリポートだ。「新時代の『日本的経営』-挑戦すべき方向とその具体策」

 95年、財界はバブル経済崩壊後の経済不振と円高に苦しんでいた。円は1ドル=70円台に突入した。

「新時代の日本的経営」では、「雇用ポートフォリオ」の導入を提唱。「長期蓄積能力活用型」「高度専門能力活用型」「雇用柔軟型」の3グループに分けた。

 このうち、「雇用柔軟型グループ」が、契約と派遣の非正規雇用だ。リポートの作成にあたった成瀬健生氏(当時の日経連常務理事)が2010年、「新時代の『日本的経営』オーラルヒストリー」(慶応義塾大学出版会)で振り返っている。

「何とかしてコストを下げないと、本当に日本経済が潰れるかもしれないという危機意識がありまして」

 だが、その後の展開は予想していなかった。

「われわれの目算ですと、季節労働者と主婦と学生、その他退職したあとの労働者などを含めて、だいたい2割はそんなにきっちり働かなくていいよという人たちがいるなという感じだったんです」

「非正規雇用が全体の2割だったらば、その人たちはもし不況になって首を切られても帰るところがあるんですよ。今のように35%になると、帰るところがない人が15%になっちゃうでしょ。これはやっぱり、予想外だったですね。残念ですけど、われわれの見通しの甘さ」

■労働者派遣、対象見直しを閣議決定

 自民党は当時、何をしていたのか。

 1993年に初めて下野したが、翌年には社会党、新党さきがけとの連立で政権に復帰。「新時代の日本的経営」が出た95年は、労働者派遣事業の対象業務を見直すことが閣議決定された。96年には、労働者派遣法が改正され、対象業務が16から26に増えた。

▽渡辺周(Tansa 編集長)日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!

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