人手不足で売り手市場の建設業界 “高齢職人”の引退で若手にチャンス到来
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月1日 9時26分
中野サンプラザ(C)日刊ゲンダイ
昨年7月に閉館したのが、駅前ランドマークとして50年間親しまれてきた東京・中野の中野サンプラザ。
今年度内の着工、2029年の竣工で地上61階、高さ250メートルの高層複合施設の建設など再開発が計画されていた。
だが、昨今の建築費高騰で、当初予定の事業費2639億円を900億円超上回る金額が建設会社から提示され、計画見直しが迫られている。昨今のインフレはこうした大規模再開発だけでなく、小規模ビルやマンション、ちょっとした住宅リフォームも直撃。住宅設備機器大手LIXILが一部メーカーの住宅サッシ、玄関ドアを9月2日の受注分から10~50%程度値上げしたが、値上げは設備機器や建材のほか、人件費、物流費など多岐にわたる。
■中古市場の隆盛でリノベ業界も有望
「中古物件が住宅購入の主流になる中、増えているのが築古物件のリフォームやリノベーションですが、コロナ禍以降の4年で、費用が15~20%程度上がり、見積金額を見て、二の足を踏む層も出始めています」(中堅リフォーム会社関係者)
壁紙やフローリングの張り替え程度ならプロに頼まず専門家のYоuTubeを見ながら、ホームセンターやネット通販で資材を買って自らチャレンジする人もいるという。
「工事費はここ1年だけでも著しく上昇しています。値上げが当たり前となった今、完全に売り手市場で『他社の相見積もりをとってから検討します』と言うと、業者から見積もりの提出すら断られる状況になりつつあります。施工業者が工事を選ぶケースが増えた上、工期自体が定まらない状況が増えています」(不動産アナリストの長谷川高氏)
世界的なインフレで日本でも値上げが当たり前になり、潮目が変わってきている。
「最も大きいのが現場の人手不足です。少子高齢化の中、建設業界は長年、3K業種と言われ、不人気ゆえに若手を育てられず来ました。加えて、高齢の職人の引退やコロナ禍で廃業した親方も少なくなく、外国人に依存する状況で今や下請けイジメのようなことはなくなり、現場の労働環境を整えないと成り立たなくなりました」
こう話す長谷川氏は、この傾向は今後も続くとみている。
「労働者側から見れば、賃金も上昇し残存者利益が享受できると言えます。明らかにAIができない仕事が多く、専門技術を身につければ賃金はさらに上昇していきます。ある程度若く健康な人にとって、高給を得る場として魅力的だと言えます。自動車の整備や板金なども同じ状況です」
働き手にとって人手不足の業界は、逆に狙い目でもある。
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