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1999年に派遣労働の対象を自由化…自民党は「企業経営者の味方」だと国会答弁ではっきり【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#10

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月2日 9時26分

1999年に派遣労働の対象を自由化…自民党は「企業経営者の味方」だと国会答弁ではっきり【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#10

経団連の提言に呼応(甘利明労相=当時)/(C)日刊ゲンダイ

【自民党と企業献金 蜜月の半世紀】#10

 非正規への追い込み30年(2)

  ◇  ◇  ◇

「雇用柔軟型」という言葉が出てきたのは1995年。日本経営者団体連盟(2002年、経団連に統合)のリポート「新時代の『日本的経営』-挑戦すべき方向とその具体策」の中だった。プラザ合意(85年)で円高が進み、その後はバブル経済が崩壊。「失われた10年」だと危機感を募らせていた。

 99年には、経団連が「わが国産業の競争力強化に向けた第1次提言」を発表した。雇用分野がターゲットとなる。

「企業内に必要以上に労働力を抱えたまま事業転換を図るという、これまで通りの対応では、世界的な大競争には打ち勝てない。雇用分野においても現下の厳しい情勢に即した対応が必要である」

 経団連の提言に呼応するように、この年、労働者派遣法が改定された。それまでは派遣対象業務を、通訳や研究開発、アナウンサーなど専門職の26業務に限っていたが、原則自由化したのだ。

 自民党政権は労働者の側ではなく、企業経営者の味方ではないのか。そのことをはっきりとさせる国会でのやりとりが、99年6月10日の参院労働・社会政策委員会であった。

 質問に立ったのは、共産党の市田忠義。リストラで人減らしをした企業には、1年間、派遣労働者の受け入れを制限することを提案した。正社員が非正規雇用に置き換わっていくことを防ぐためだ。

■自民党は企業経営者の味方、答弁でクッキリ

 労働大臣の甘利明が答弁する。

「その企業への派遣を希望する労働者のニーズに的確に対応できなくなる、あるいは当該企業の経営の立て直しに支障をもたらすということでありますから、それをリストラした企業に対して禁止行為をするということは適当ではない」

 甘利は企業経営者と労働者、どちらの側に立っているのか。市田が詰める。
甘利「当然その企業も経営戦略の中で勝ち抜いていかなければならないわけでありますから、ある手段は有効に使えるということは企業側の論理としても当然働くわけでありますから、求職側にとってこういう理由、それから企業側にとっても……」

市田「時間がないから短く」

甘利「はい。経営の立て直しについて、それが禁止をされると支障をもたらすということは事実だと思います」(敬称略)

▽渡辺周(Tansa 編集長)日本テレビを経て2000年に朝日新聞入社。17年にワセダクロニクル(現Tansa)を創刊、電通と共同通信社の癒着を暴く「買われた記事」で、日本外国特派員協会「報道の自由推進賞」。寄付で運営し非営利独立を貫く。ご支援を!

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