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エーザイ創業家の世襲体制が限界を迎える…話題の“暴露手記”主要登場人物はほぼ全て実名(横関寿寛)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月2日 9時26分

エーザイ創業家の世襲体制が限界を迎える…話題の“暴露手記”主要登場人物はほぼ全て実名(横関寿寛)

内藤晴夫CEO(C)共同通信社

【企業深層研究】エーザイ(上)

 今年5月に講談社から刊行された「リーマンの牢獄」という本が話題だ。同書は2008年、アスクレピオスという病院再生ベンチャーが丸紅を舞台に、米投資銀行のリーマン・ブラザーズから371億円を詐取したという「アスクレピオス事件」で主犯格とされた斎藤栄功氏が、15年の懲役を経た後に事件を振り返った手記だ。リーマンはこの逮捕の約3カ月後に破綻しており、斎藤氏はいわば「リーマン・ショック」のトリガーを引いた男ということになる。

 一見すると製薬会社のエーザイとは何の関係もないように思えるが、実は同社の今後を占う意味では、大事な要素をはらむ。そこには同族で代々、経営に当たってきた内藤家の“世継ぎ”の問題が微妙に絡まるからだ。

 現在のエーザイを率いるのは、内藤晴夫・代表執行役CEO。初代・豊次氏が1936年に前身の合資会社桜ヶ岡研究所(41年に日本衛材を設立し、55年にエーザイに社名変更)を設立してからの同社は同族経営で、晴夫氏は3代目だ。その晴夫氏が社長に就いたのが88年。元々はチョコラBBといった大衆薬が有名な売上高2000億円に満たなかった同社を、認知症とがんの製薬会社に特化させ、売上高7000億円企業に成長させた功績は立派なものだ。

 だが既に37年もの長期体制に突入。自身の年齢のこともあり、内外から経営交代の潮時とみられている。

 同社の場合、東証プライム上場企業にあって、内藤家が筆頭株主でないにもかかわらず、長男の景介氏への“世襲”が既定路線。同社は5月、景介氏を、常務執行役から代表執行役専務に昇格させる人事を発表し、体制を整えつつあるが、景介氏は36歳。晴夫氏が40歳で社長に就任したことを考えれば、早すぎではないのかもしれないが、当時ならいざ知らず、現在の「薬剤費抑制」「新薬開発コストの高騰」といった厳しい経営環境に置かれる製薬業界にあって、40そこそこの若者に舵取りを任せるのは心もとないというのは当然の見方だろう。

娘婿は暴露手記のモデルに

 一時は内藤家内でも後継レースが行われているという見方があった。だが長女の配偶者のアイヴァン・チャン氏は、同社が力を入れる認知症薬部門のグローバルオフィサーで、米国の最高経営責任者を最後に、昨年7月に同社を離れた。同社が目下、最も力を入れている早期アルツハイマー病治療薬の「レケンビ」(一般名・レカネマブ)が、昨年1月に米食品医薬品局から迅速承認が下りた際、早朝の電話で現地のチャン氏から晴夫氏に「コングラッチュレーション」と伝えられたという話は、製薬担当記者の間では語り草だ。

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