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認知症の内服治療のポイントは? 重症度や症状によって有効な薬は変わる【正解のリハビリ、最善の介護】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月2日 9時26分

認知症の内服治療のポイントは? 重症度や症状によって有効な薬は変わる【正解のリハビリ、最善の介護】

ねりま健育会病院の酒向正春院長(本人提供)

【正解のリハビリ、最善の介護】#48

 認知症の治療は、「環境調整」「関わり方(接し方)」「内服治療」の3本柱です。環境調整と関わり方のために“正解のリハビリ”があり、それによって“最善の介護”が継続できると考えます。

 では、認知症に対してどの程度、内服治療は有効なのでしょうか。答えは「極めて有効」です。治療のポイントは、意欲・認知機能の向上と、BPSD(認知症の行動・心理症状)の管理になります。つまり、意欲・認知機能が低下した場合やBPSDで困る場合に投薬治療を行うのです。

 認知症は重症度と意欲・精神の状態により、その治療が変わります。重症度は、認知機能の重症度と身体的な日常生活動作の重症度で分けられます。よく知られている認知機能の重症度の評価法は、MMSE検査(ミニメンタルステート検査)です。30~28点は正常域、27~24点は軽度認知機能低下、23~20点は軽度認知症、19~10点は中等度認知症、9~0点は重度認知症と考えられます。身体的な重症度はBI(バーセルインデックス)で評価できます。

 100点は正常域、95~85点はほぼ自立、80~60点は軽介助が必要な軽度障害、55~40点は中等度介助が必要な中等度障害、35点以下は全介助が必要な重度障害に分けられます。

 こうした評価によって認知機能の低下が認められる場合、その向上には抗認知症薬が有効です。一方、身体機能の向上にはリハビリ治療が大切で、介助が必要になる場合はケアの質や最善の介護が求められます。

■抗認知症薬では興奮症状を憎悪させるケースがある

 もうひとつ重要なポイントがあります。それが、意欲・精神の問題です。意欲・精神が低下した状態には、先ほども触れた抗認知症薬が有効で、意欲や認知機能を向上させます。抗認知症薬だけで効果が不十分な時は、ドーパミン遊離促進薬を追加すると劇的に意欲が向上するケースがあります。ただし、脳萎縮や脳損傷の状況により、けいれん発作が起こりやすくなる可能性があるので、専門家が注意深く管理する投薬治療が必要です。

 意欲と精神状態が穏やかな場合も、認知機能を向上させるために、興奮などの副作用がなければ抗認知症薬は有効です。

 しかし、意欲や感情が混乱してひどく問題行動を起こしている場合には、抗認知症薬を使うと興奮症状をますます増悪させてしまいます。一部の抗認知症薬は精神を穏やかにする作用もあると言われますが、基本的には興奮する方向に作用しますので、開始する場合は詳細に評価して、興奮するようならすぐに中止する対応が必要です。

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