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息子さんが介護に非協力的…傷つける発言が目立つが何とかならないか【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月2日 9時26分

息子さんが介護に非協力的…傷つける発言が目立つが何とかならないか【老親・家族 在宅での看取り方】

前向きな気持ちになっていただく言葉をかけることが大切

【老親・家族 在宅での看取り方】#113

「お母さんの介護に対して、息子さんがあまり協力的でないんです」

 ある患者さんのご家族について、訪問看護師からこんな相談を受けたことがあります。

「常に患者さんに対して否定的。『寝すぎなんじゃない?』など病気で悩んでいる患者さんの心を傷つけるひどい発言が目立ちます。息子さんに、お母さんの病状が思っている以上に深刻だということを、もう一度説明していただけますか」

 患者さんは大腸がん末期の62歳の女性。がんの組織は大腸を突き破り、腸管から出血しているため輸血が必要です。そこで在宅医療で輸血をしている当院が病院から紹介され、当院で在宅医療を開始することになったのでした。

 アルコールの多飲歴もあり、それによるアルコール性肝硬変も患っておられますが、それでも頻繁にいまだにアルコールを飲まれたり、たばこもたしなんだりと、ご病気がありながらも自宅で自由気ままに暮らされていました。それでも時折、がんの痛みが増して我慢できなくなったときなどは、「こんな痛みには耐えられないよ……いっそ死んでしまいたいよ」などと訪問看護師に弱音を吐くことも増えるようになっていったといいます。

 そんな患者さんには少し離れたところに住む息子さんがいらっしゃるのですが、その息子さんに関して訪問看護師が心配し、冒頭の相談となったのです。聞けば息子さんは不安障害を患っておられるとのことで、お母さんに対する言葉が少々冷たいように感じるというのです。

「息子さんもそうですが、飲酒をやめない患者さんに、ただ痛み止めを増やせばよいという問題ではないように感じるのですが」

 訪問看護師からもっともな意見が続きます。在宅医療を実施するご家庭はさまざまな事情がありますが、決して病気に前向きに真摯に向き合う患者さんやご家族ばかりとは限りません。

 むしろこの患者さんのように、時に生活習慣が療養を行うのに適切とは言い難い場合が多少ともあるものなのです。しかも、その生活習慣やスタイルが、患者さんやご家族にとって自分らしく生きる証しだと思われている場合もあります。

 在宅医療を開始された動機が、入院ではそれが制限を受けるからだとすれば、なおさらです。それでも痛みを和らげることも、お酒やたばこもあまりよいものではないと説明することも医療的に大切なことですし、もちろんご家族の介護が重要になる在宅医療では、同時にご家族の協力を促すことも重要な仕事です。

 説教がましくなく丁寧に、ご家族と患者さんご本人に考えていただくように説明し、少しでも前向きな気持ちになっていただく言葉をかけることが大切だと考えています。

 悩ましいことですが、在宅医療にとってある意味、一番大切な務めなのかもしれません。それだけに、諦めることなく患者さんとご家族との対話を続けていこうと思っています。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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