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《周東佑京の巻》育成時代は頭を抱えるほど手を焼いたアピール下手のスピードスター【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月3日 17時0分

《周東佑京の巻》育成時代は頭を抱えるほど手を焼いたアピール下手のスピードスター【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

足は天下一品(C)共同通信社

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#13

 周東佑京

  ◇  ◇  ◇

 足だけでプロ入りと支配下枠を勝ち取り、日本代表にも選ばれたスピードスター。それが周東佑京(28)です。

 2017年育成ドラフト2位で指名されたのは足の速さが群を抜いていたからです。当時、ホークスの育成ドラフトは一芸に秀でた選手を多く獲得していた。周東は一塁到達まで3秒8という規格外の快足。今でこそ打撃を磨き、スタメン選手として活躍していますが、僕は当初、「代走だけで盗塁王取らせりゃええやん」と本気で思っていました。二塁が空いている場面で代走として出せば、確実に盗塁を決めてくれますからね。

 そんな周東がまだ育成選手だった頃の話です。ファームにも地元のテレビ局などがよく取材に来ていました。選手にすれば、絶好のアピールのチャンス。でも、当時の周東は自分からアピールをするのが下手。聞かれたことに答えるだけで、どうにもやる気のようなものが伝わってこない。顔もかっこいいし、名前だって芸能人みたいに洒落ているから絶対に人気出るのに……と、僕も歯がゆく思い、本人にこう言いました。

「ほら、テレビ局の取材来とるよ。今、調子いいんだろ? ならテレビを利用しろって。『いつでも行けます!』って真顔でアピールしなさい。見てる人はちゃんと見てるんだから。それくらい言って、強い気持ちでやってるんだ、とアピールしなきゃあかんよ」

 そう言ってテレビ局の取材に向かわせましたが、ちょっとしゃべって「あ、お疲れさまです」で終わって……おい待て! もうアピール忘れたんか! と僕が頭を抱えたくらいです(笑)。そんなやりとりを、いったい何度繰り返したことか……。

 しまいには僕も「おまえ、支配下になりたいの? なりたくないの?」と言ってしまったほどです。

 そんな周東が今年からチームの選手会長に就任したことには驚きました。レギュラーといっても、不動というわけではない。なんで? と思いましたが、選手会長は自分のことばかりではなく、チーム全体を見渡さなければいけない立場。責任感を持たせるという意味では、良い人選だったかもしれません。チームのまとめ役という重荷を背負った周東が、その役職から外れて再び自分のことに専念できるようになった時、果たしてどんな選手になっているか楽しみでなりません。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

  ◇  ◇  ◇

 次回 ●《スチュワート・ジュニアの巻》…では、異例の経歴で日本球界に飛び込んできたスチュワートの知られざる素顔、時間の経過ともに変化した態度などについて詳述している。

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