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「ラストマイル」首位返り咲き「スオミの話をしよう」伸び悩み…映画も“浮動票”が観客動員の決め手

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月3日 9時26分

「ラストマイル」首位返り咲き「スオミの話をしよう」伸び悩み…映画も“浮動票”が観客動員の決め手

満島ひかり(C)日刊ゲンダイ

【芸能界クロスロード】

 映画興収ランキングは映画界の通信簿。映画を見る人は参考にするし、製作者・俳優は一喜一憂する。

 最新のランキングから2本の映画の話をしよう。

 満島ひかり主演の「ラストマイル」が公開5週目にして首位に返り咲いた。入れ替わるように長澤まさみ主演の「スオミの話をしよう」は2週目で1位から3位に陥落。9月27~29日の週末ランキングでも「スオミ──」は前週の3位から5位に落ち「ラスト──」は1位をキープしている。

 今年の実写版映画ナンバーワンの声も出始めている「ラスト──」の安定した人気を象徴する1位奪還。三谷幸喜と長澤がタッグを組んだ「スオミ──」の人気は不安定さが目立つ。

「三谷作品だけに期待大で、公開前から何週にわたり1位をキープするか話題でしたが、1週で首位の座を明け渡した。一度落ちると再浮上は難しい。それ以上に“ラスト──”の勢いが止まらない」(映画関係者)

 2018年公開の“カメラを止めるな!”がジワジワと観客動員が止まらなかった現象と似ている。公開2週目にして順位を落とした三谷作品。公開前からフジが過去の作品を連日放送して盛り上げていた。何度見ても「面白い」と改めて三谷ワールドに酔いしれた人も少なくないが、最新映画には結びつかなかった。

 映画も選挙と似て浮動票が観客動員の決め手になる。支持政党、支持候補者のいない人が持つ浮動票。映画に置き換えれば好きな作品、監督、俳優のいない人たちの取り込みがヒットのカギを握る。

 特定の好きな映画のない人が映画を見るきっかけは「話題だから」「面白いと聞いた」で映画館に足を運ぶ。「ラスト──」は浮動票の人たちが増え続け観客動員につながった。

「スオミ──」は浮動票の人が伸びていないワケ

 逆に「スオミ──」は浮動票の人が伸びていない。

 安定した人気の三谷作品。期待を持って見た人も多いが、今回は「違和感があった」という人もいる。確かに、物語の核となる話の大半が豪邸内の広々としたリビングで行われる。西島秀俊らがリビングのあっちこっちに座ったり、立ったりしながらスオミの話をする。映画よりも舞台が合う演出に見えた。

 舞台ならしっくりくるが、スクリーンでは違和感を覚えても不思議はない。映画はさまざまな背景も含めて見る人を楽しませる。渥美清の「男はつらいよ」も柴又の草団子屋が中心でも、江戸川の土手、帝釈天、毎回の地方ロケも人気を支えた。

「スオミ──」の後半はリビングから一転、狭いセスナの機内で男たちが論争する場面。内村光良のNHK「LIFE!」のコントを見ているようだったが、コントなら笑えても映画では声を出して笑えない。失笑が漏れていた。それでも、楽しませてくれたのが長澤の服装七変化。ドレス、ミニスカ、バスローブ、ジーンズにTシャツ姿で長澤の魅力があふれていた。

 映画を見終わった観客の様子にも違いがあった。「ラスト──」では、「石原さとみも出ていた」と、口々に映画の話が出る。「スオミ──」は無言の人が多いように感じた。

 自民党総裁選では前評判の高かった小泉進次郎が1回目の投票で失速。石破茂と高市早苗の決選投票では議員の浮動票が石破に流れ勝利したという。

 映画は口コミによる浮動票の取り込みが観客動員を大きく左右する。その差が今回の順位逆転の要因になった。

(二田一比古/ジャーナリスト)

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