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高速船2社どうなる? JR九州高速船は不祥事隠蔽、4期連続赤字の瀬戸内汽船は“逆張り”投資で大博打(重道武司)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月3日 9時26分

高速船2社どうなる? JR九州高速船は不祥事隠蔽、4期連続赤字の瀬戸内汽船は“逆張り”投資で大博打(重道武司)

(JR九州高速船のHP)

【経済ニュースの核心】

 海運業界関係者らの間で今、2つの高速船運営会社の行く末に注目が集まっている。

 浸水していることを隠蔽して運航を続けていたJR九州の子会社、JR九州高速船(福岡市)と、債務超過に陥って経営難に直面している瀬戸内海汽船(広島市)だ。

 JR九州高速船が運航しているのは博多港と韓国・釜山港を結ぶ「クイーンビートル」。船体に亀裂が生じて浸水を確認しているにもかかわらず、必要な検査や修理を怠り、運航を繰り返していたというのだから、その安全意識の欠如ぶりには呆れ返る。

 しかも今年8月上旬の抜き打ち監査で不正をあぶり出した国土交通省によれば亀裂・浸水は22年11月の就航以来、3度に及び、当時の経営トップの指示などで「航海日誌の偽装まで行われていた」という。

■長期運休は必至

 無論、国交省の怒りは凄まじく、9月中旬には海上運送法に基づく同社に対する安全確保命令と、全国初となる安全統括管理者(取締役企画部長)及び運航管理者(同運航部長)の「解任命令」で応じた。10月末までに再発防止策などの報告を求めるが、JR九州高速船の保有船舶はクイーンビートル1隻だけで、長期運休を強いられるのは必至。JR九州内部では「もはや、他の子会社と再編して処理するしかない」との声も飛ぶ。

 一方、瀬戸内海汽船は広島・呉両港と愛媛県の松山港を結ぶ「スーパージェット」を運航。フェリーも併営する。しかし19年から20年にかけて2隻の大型船を導入して償却負担が膨らんでいたところに新型コロナ禍が直撃。利用客が激減して業績が急降下した。

 コロナ禍明け後も客足の戻りは鈍く、19年に約60万人だった利用者数は23年で46万人と2割以上落ち込んだまま。23年12月期は1.64億円の最終赤字に沈み、期末時点の債務超過額は7.56億円にまで増大した。今12月期も最終赤字の見通しで、4期連続赤字となる。

■広島銀行が救済へ

 そんななか救済に乗り出したのが広島銀行だ。7月末に債権放棄や債務の株式化(DES)、さらには傘下のファンドを通じた出資といった支援パッケージを決定。再建に着手したが、業界筋を驚かせたのは瀬戸内海汽船の“逆張り”投資だ。26年4月就航を目指し、8月、新たな高速船の建造を決断したのである。

 果たして吉凶いずれの目が出るのか、地元では「大博打」との懸念も漏れる。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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