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《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月4日 9時26分

《スチュワート・ジュニアの巻》時間と共に解きほぐれた米ドラフト1巡目のプライド【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】

スチュワート・ジュニア(C)日刊ゲンダイ

【ホークス一筋37年 元名物広報が見た「鷹の真実」】#14

 スチュワート・ジュニア

  ◇  ◇  ◇

 過去、さまざまな選手がプロ野球の門を叩きましたが、スチュワート・ジュニア(24)ほど入団経緯が珍しい選手もいないでしょう。

 2018年メジャーのドラフトでブレーブスから1巡目、全体8位で指名されながら身体検査にひっかかり、契約条件が折り合わずに入団拒否。翌年、ホークスと異例の長期6年契約を結びました。

 当時、スチュワートには取材が殺到しましたが、その多くが「メジャーのドラフトをどう思うか」などといった内容。広報として受けていいものかどうか、悩みました。最終的に通訳と相談して、「スチュワートのことを理解してもらうのも大事だから、断り過ぎるのもよくない。メジャー批判につながりそうな、彼の立場が危うくなるような質問があったら、その場で止めよう」と決めましたが、外国人記者や英語が話せる記者相手だと通訳抜きでも会話が成立するし、盛り上がってしまうと止めるに止めようがない。

 取材が終わってスチュワートに「大丈夫だった?」と聞いて、「OK」と返ってきたので、まあ、いいかと(笑)。

 英語での会話はスチュワートにとってもストレス解消になったはず。来日したばかりの彼は、ひと言で言えば「プライドの塊」。日本語は当然わからず、かといって覚える気もない。食事もカレー、チキン、ハンバーガーと高カロリーのものばかりで、日本食を口にしようともしない。どこか、「俺はメジャーのドラ1だ」という強すぎる自負が感じられました。

 しかし、19歳で知らない国のリーグに単身で入団してきたのです。同情の余地は十分にありました。

 当時、守護神だったサファテに「日本でプレーするなら、日本の環境に慣れた方がいい」とアドバイスされ、徐々に徐々に環境に慣れ始め、成績も上がっていきました。

 日本語を自分から話すようになったのも、一軍デビューした21年あたりからです。

 ある時、日本人の女性記者とスチュワートが日本語でしゃべっていたので、近くにいた通訳に「会話、成り立ってる?」と聞くと、「成り立ってます」。そこで2人の会話が終わるなり、「スチュワート、俺とも日本語でしゃべろうや」と絡んだこともあります。

 一度、冗談で「やっぱり、米国でプレーしたいの?」と聞くと、「日本。日本にずっといたい。このチームでずっとやりたい」。本心か建前かはわかりませんが、日本語でそう言えるくらい、言葉は習得しています。

(田尻一郎/元ソフトバンクホークス広報)

  ◇  ◇  ◇

次回 ●《本多雄一の巻》…では、堅実でもここぞというときにガッツを見せてファンを沸かせた本多について詳述している。田尻氏が見た本多の「素顔」とは、いったい……。

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