企業の経営理念は「変化」しているが、政治はどうだ? 投資家には気の抜けない日々が続く(中西文行)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月4日 9時26分
トヨタ自動車は五輪の最高スポンサーから撤退(C)ロイター
【経済ニュースの核心】
平日、郊外の商店街を歩くと老人ばかりとすれ違う。ファストフードに入れば高齢女性が応対する。ターミナル駅前の商店街は、高齢者がターゲットと思えるマッサージ店や整骨院、さらにインターネットに不慣れな高齢層が保有する貴金属などを狙ってか、買い取り店の「居抜き」出店が目立つ。
一方、中古品販売・買い取り大手のブックオフは閉店が相次ぐ。東京の「阿佐ケ谷南店」(10月13日)、「新高円寺駅前店」(同20日)などだ。GMSのイトーヨーカドーも来年2月末までに33店舗を閉店する。
企業の経営戦略は「変化」である。パナソニックホールディングスとトヨタ自動車、ブリヂストンの3社は今年で期限を迎える国際オリンピック委員会(IOC)との最高位スポンサー契約を終了すると発表した。電機、自動車など日本を代表するグローバル企業が揃って五輪スポンサーから退場する。
政治にも変化が起きるだろうか。石破茂氏は9月27日の新総裁就任の記者会見で「野党と論戦」した上で衆院解散・総選挙を「なるべく早く」行うと述べていたが、30日に10月27日に解散総選挙を行いたいと明言。「10月15日公示、同27日投開票」となる。
小選挙区の野党間の候補者調整は短期間では困難で、できたとしても選挙活動に大きく出遅れる。コンサルティング会社がそのように自民党にアドバイスもしたのだろう。
石破氏は、経済政策で物価高や少子高齢化、地政学・災害リスクに備える「危機に強い経済財政」の確立を提唱。最優先課題として首相就任後3年以内のデフレ完全脱却を掲げた。消費者物価の上昇、日銀は利上げの中、石破氏はまだ「デフレ」なのだろうか。
「金利のある世界」復活を受けて、経済成長と財政健全化の両立を重視し、地方再生にも重点を置き、「成長型経済の実現を目指す」と宣言してもいた。
石破氏はまた、「法人税は引き上げる余地がある」と発言。消費税率は当面維持としながらも、富裕層優遇を見直すため金融所得課税の強化にも一時言及。最低賃金も20年代に全国加重平均で1500円へ引き上げ、地域間格差の早期是正を目指すなど有権者を意識した「バラ色」の公約で自民党支持率を押し上げ、総選挙に挑むだろう。
今後、過熱する選挙関連報道。自民党あるいは自公で過半数かの報道が続くのか。裏金に揺れた政界で、政権交代という「変化」は起きるのか。国会議員同様に投資家も気が抜けない日々になろう。
(中西文行/「ロータス投資研究所」代表)
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