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紙に「書き出す」だけで不安を抑え、パフォーマンスを向上できる【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月4日 9時26分

紙に「書き出す」だけで不安を抑え、パフォーマンスを向上できる【科学が証明!ストレス解消法】

写真はイメージ

【科学が証明!ストレス解消法】#185

 不安や心配事に押しつぶされそうなときが誰にでもあると思います。不安と上手に向き合う方法として、「あえて不安を紙に書き出すと効果的」という南メソジスト大学のペネベーカーらの研究(1988年)があります。

 ペネベーカーらの実験は、36人の女性と14人の男性に対して行われました。まず10分間安静にし、その後、血圧、心拍数、そして皮膚コンダクタンス(皮膚の電気)を測り、血液を採取し、質問用紙に回答してもらいます。

 その上で、男女比が同じになるようにトラウマ的体験をしたことがあるグループに被験者を分け、片方のグループには1日15分、4日間にわたって、人生で最もトラウマ的で悩みの種となるような出来事を書いてもらいました。同様に、もう片方のグループには、その日にしたことや履いていた靴などの普通のトピックについて20分間ずつ書きつづってもらいました。

 4日目が過ぎた後、再び血圧、心拍数、皮膚コンダクタンスを測り、採血をして、さらにその6週間後、再び採血をする。以後も、フォローアップの調査として、メールで質問項目を送るなどして回答を募るようにしたといいます。

 その結果、悩みの種となる出来事を書いてもらったグループのみ、実験直後こそネガティブな感情や頭痛や筋肉の緊張などの身体的な問題が生じる傾向があったものの、長期的には免疫の改善、精神的な苦痛の改善、診療センターへの訪問回数の減少、自律神経の改善など、さまざまな点で利点が見られたそうです。

 双方のグループともにトラウマ的な過去を抱えているにもかかわらず、不安や心配事を定期的に紙に書き出したグループは、心理的負担が軽減されたというわけです。

 さらに、ノースカロライナ州立大学のクラインと北テキサス大学のボールズらは、35人の新入生に「大学に来た気持ちや感想」を毎日20分間2週間にわたって書きつづってもらい、その一方で36人の新入生には「大学とは関係ない普通のトピック」を書いてもらうという研究(2001年)を行いました。

 7週間後、前者は、後者に比べメンタル部分の改善だけでなく、ワーキングメモリーの大幅な改善も見られたといいます。ワーキングメモリーは、作業や動作に必要な情報を一時的に記憶・処理する前頭前野の働きのひとつです。ワーキングメモリーがパンクすると、それだけ人間は判断能力や処理能力が鈍くなってしまいます。

 また、彼らの別の実験ではネガティブな体験を書いてもらった34人のグループは、ポジティブな体験を書いてもらった33人のグループ、普通のトピックを書いてもらった34人のグループよりもワーキングメモリーが改善し、余計なことを考えなくなりました。

 余計なことを考えなくなったため、ワーキングメモリーが改善される--。不安を書き出すことは、不安を抑え、パフォーマンスの向上にもつながることが示唆されたのです。

 何か新しいことをはじめるときや、行き詰まって思考停止してしまったときなどにも有効ですから、不安に覆われたときには「書き出す」アクションをしてみてください。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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