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長与千種が宿敵ダンプ松本について言葉少なに語り…かえって“深い関係性”を感じた(本多正識/漫才作家)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月5日 9時26分

長与千種が宿敵ダンプ松本について言葉少なに語り…かえって“深い関係性”を感じた(本多正識/漫才作家)

長与千種(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#212

 長与千種

  ◇  ◇  ◇

 ネット配信ドラマ「極悪女王」で悪役女子プロレスラーぶりを演じるゆりやんレトリィバァが話題です。主人公のダンプ松本さんと同期で親友で宿敵でもあった長与千種さんとは引退から数年後にテレビの深夜放送で半年間ご一緒しました。

 リアルタイムで過激なファイトやダンプさんとの壮絶な流血試合を見ていたので、「どんな方なんだろう?」と興味津々でした。しゃべりは言葉を選びながら物静かで、想像していた長与さんとはずいぶんイメージが違いました。それでも一言一言に重みと説得力があり、打ち合わせ、本番でも必要以上のことは話さない方でした。引退されているにもかかわらずキラキラしたオーラを放ちつつも、いつも共演者を立てて全体のバランスを取っておられました。

 考えてされているというより天賦のプロデュース感覚の方という印象です。「極悪女王」の試合シーンの演出も長与さんがされていたようですが、格闘技経験のない女優さんたちにあれだけの「形」を短時間で指導されたのもプロデュース感覚のなせる業なのだと思います。

 宿敵ダンプ松本さんのことを伺うと「あいつマジでフォーク突き刺してきたからね!…けどいい奴、すごい奴、そういう奴」と言葉少なに話されていたのが、かえってお2人の深い関係性を感じました。ネガティブな話や愚痴を一切言われなかったのも印象的でした。ドラマを見て先輩からのいじめを受けていたり、家庭の複雑な事情があったことなどを知り、あの優しさは、自分がされた仕打ちの裏返し、反面教師にされていたんだろうなと胸が熱くなります。

 プロレス時代の話を聞くと「スクワット1000回やるんですよ」「1000回ですか!?」「そうだよ。それぐらいのことできなきゃあんなキツい試合できないし、ケガするもん。500回過ぎたあたりから自分の足元に“汗だまり”ができてくるんですよ、それが端のほうから乾いて白い粉に変わっていくのが見えて。“体に塩があるって本当なんだなぁ”とか妙なことに感心してましたね」と、とてつもなく厳しかったであろう練習の話を笑いを交えてされていました。

 当時から「体はボロボロですよ」と笑ってらっしゃいましたが、まだまだ元気なご様子、若手選手の育成に力を注いでおられるようですが、きっとあの愛情で素晴らしい選手を育成されることでしょう。これからのご活躍を期待しています。

(本多正識/漫才作家)

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