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山川豊さんが告白…肺がんの脳転移は長期延命どころか治る可能性も【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年10月5日 9時26分

山川豊さんが告白…肺がんの脳転移は長期延命どころか治る可能性も【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

山川豊さん(C)日刊ゲンダイ

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 今年1月にがんであることを発表した歌手の山川豊さん(65)が、ステージ4の肺がんだそうです。

「日刊ゲンダイ」にそのことを語ったインタビュー記事が話題になっています。診断を受けたとき、頭に2カ所の転移があったそうです。

 今年発表された最新の「人口動態統計2023年版確定数」によると、肺がんの死亡数は7万5762人。2位のすい臓がんより3万5000人以上多くなっています。そこで今回は、日本人にとても多い肺がんと脳転移について紹介しましょう。

 肺がんは組織型で4つに分けられ、山川さんが発症した非小細胞肺がんの腺がんは全体の5~6割と最も多いタイプ。喫煙と関係がありません。実は、がん患者のうち10人に1人が脳転移を起こす中、その原因は肺がんが最多の50%。しかもその6割は肺腺がんですから、山川さんのケースは典型的なのです。

 山川さんは診断時に脳転移が認められていたようですが、早期に肺がんを治療した場合は脳転移に注意しながら経過を観察。見つかったらすぐに治療することが大切になります。

 では、その治療をどうするか。一番は、腫瘍にピンポイントで放射線を照射する定位放射線治療と分子標的薬のチロシンキナーゼ阻害薬の組み合わせです。それも、同時併用がベスト。それぞれの治療の順番を調べたところ、同時併用が最も効果的だという研究結果があります。

 ところが、日本では、チロシンキナーゼ阻害薬を先に投与してから定位放射線治療を行うことが少なくありません。脳転移が見つかったら、定位放射線治療と分子標的薬の同時併用。これが大切です。

 この分子標的薬は、効く人が分かっていて、事前にチェックすることができます。がん細胞の表面には、細胞増殖にかかわるスイッチのような働きをするタンパク質がたくさん存在します。それがEGFRで、EGFRを構成する遺伝子の一部に変異があると、がん細胞が限りなく増殖してしまいます。分子標的薬は、このスイッチをオフにするのです。

 そこに着目すると、この分子標的薬が効くのはEGFR遺伝子が陽性の人になります。それが陽性の人に分子標的薬と定位放射線治療を組み合わせると、5年以上生存する確率が高まります。私の患者さんでは、脳転移が単発か少数の場合、治癒したケースもあるのです。

 EGFRが陽性の場合の脳転移は、小さな腫瘍が多数できる傾向がありますが、山川さんの告白によれば2個といいます。EGFR陽性でない腺がんの可能性もあるかもしれません。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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